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魔法のコトバ*  Season7 キミに届け-9-
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魔法のコトバ* Season7  キミに届け-9-

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魔法のコトバ*  Season7 キミに届け-8-
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魔法のコトバ* Season7  キミに届け-8-

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魔法のコトバ*  Season7 キミに届け-7-
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魔法のコトバ* Season7  キミに届け-7-

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魔法のコトバ*  Season7 キミに届け-6-
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魔法のコトバ* Season7  キミに届け-6-

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魔法のコトバ*  Season7 キミに届け-5-
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魔法のコトバ* Season7  キミに届け-5-

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駅を抜けて住宅街を走り、河川敷への坂道を駆け上がる。
目の前の景色が開けた時、川から吹き付ける北風に思わず目を瞑った。
冬の河川敷は人がまばらで、時折ベビーカーに子どもを乗せた若い女の人や下校中の小学生とすれ違う。
人通りの少ない静かでのんびりした道をゆっくりと自転車で走った。

「ここで食うか」
しばらく走って見つけた公園の脇に蒼吾くんが自転車を止めた。
ベンチには散歩の帰りに休憩してるお年寄り。
自転車を木の脇に止めると、ドカッと枯れ芝の上に腰を降ろす。
汚れていないかどうか確認をして、制服のスカートのプリーツを整えながら私もその隣に腰を降ろした。
「ん」
蒼吾くんが紙ナプキンに包んだドーナツを差し出した。
「ありがとう」
風に乗ってほのかにチョコレートのいい匂いがする。
お昼食べたばかりなんだけどな。
なんて思いながら、それでも甘い誘惑には勝てない。
ぱくんとそれをほおばる。
その横で蒼吾くんが大口を開けてドーナツをほおばった。
袋の中にはまだ2つ。
ほんとに甘いもの好きなんだ。
横目でぼんやりと蒼吾くんを眺めた。
「なん?」
きょとんとした顔で蒼吾くんが振り返った。
「甘いもの、好きなんだね」
「…男のクセに、って思っただろ?」
不機嫌そうに眉を寄せながら、2個目になるドーナツをほおばる。
「思ってないよ」
「…ふーん…」
半信半疑な顔でこっちを見る。
ドーナツがどんどん大きな口に吸い込まれていく。
私が半分も食べ終わらないうちに、あっという間に3つのドーナツが蒼吾くんの胃袋の中に収まった。

「食った食った〜」
満足そうに背伸びをすると、蒼吾くんがその場にごろんと寝そべった。
足を組んで空を見上げる。
私は慌てて食べかけのドーナツを口に押し込んだ。
蒼吾くん、食べるの早すぎだよ。
「ゆっくりでいいぞ」
私を見て蒼吾くんが笑った。
「ん…」
口の中がいっぱいな私はとりあえず首だけで頷いた。

「空。見てみ。すっげー青い」

寝転んだまま空を指差した。
見上げた空は雲ひとつない抜けるような青を覗かせて、どこまでも果てがなく見えた。
空気が凛と張っていて綺麗。
心に染み入るような空の青に、曇っていた心が洗われるようだった。

「俺、こんな青い空の日に生まれたんだってさ。
だから空の蒼(アオ)を取って、蒼吾」
「…そうなんだ」

すごく蒼吾くんらしい名前。



「夏木くん」
空を見上げた横顔にそっと声を掛けた。
「あの日…、ありがとうね」
私の言葉に少し考えて。
「ああ」
小さく笑った。



佐倉くんの想いを知ったあの日の帰り道。
ひとりだったらきっと、まだ立ち直れてなかった。
涙が枯れるまでっていう泣き方を身をもって実感するくらい泣いた。
そんな私を心配して、家まで送ってくれた蒼吾くん。
泣き顔のまま、電車になんて乗れなかった。
人通りの多い駅の前なんて通れなかった。
だから人通りの少ない河川敷の道を選んで送ってくれた。
頭からかけてくれた大きなスポーツタオル。
あれは蒼吾くんの優しさ。


「気持ちの整理、ついたのか?」
「うん…」
私は笑った。
「……」
「なに?」
「…いや」
肩をすくめて苦笑する。
「俺でよかったらいつでも聞いやるよ。相談料、高いけど」
「何それ」
私は笑う。


「さて、と。そろそろ行くか」
大きく背伸びをして立ち上がるとジャージに付いた草や土を勢いよく掃った。
「遅くなると怒られそうだし」
「うん」
座ったまま蒼吾くんを見上げたら。
「ん」
覗き込んだ顔がそっと手を差し出した。

「え?」

「手」

そう言って私の前に大きく手を広げた。

「いいから」

戸惑う私の手を引き上げて体を起してくれる。

あの日以来、蒼吾くんはちょっと違った感じで。
いつもと違う優しさに戸惑ってしまう。
気を使って心配してくれてるのがすごくよくわかる。
だからよけに心配かけちゃいけないって、思ってしまう。
私が笑わなきゃ、蒼吾くんが心配する。
凪ちゃんが好きな蒼吾くん。
心配かけちゃだめだ。
凪ちゃんにまできっと伝染する。
そうなったら佐倉くんだって…。
なんか堂々巡りみたいだな。


自転車をこぎながら、蒼吾くんが言った。

「頑張れよ。絵、見に行くから」
「…うん」
「じゃ、あとは人数分のジュースを仕入れて帰るとすっか!」
「夏木くん」
「ん?」
「ありがとう」


私はその背中にそっと呟いた。




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魔法のコトバ*  Season7 キミに届け-4-
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魔法のコトバ* Season7  キミに届け-4-

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「ホームセンターでアクリルボードとガムテを買って、手芸店でサテン生地。その後、クラスの人数分のジュースを買って…って。
なんだこりゃ!」
渡されたメモ用紙を手にしながら蒼吾くんが声を荒げた。
自転車を漕ぎながらメモ用紙とにらめっこ。
「あいつら人をこき使いやがって。人数分のジュースをどうやって持って帰れっつーんだよ。ったく…」
呆れたように呟きながら、メモをポケットにしまった。
借り出された私は自転車の後ろ。
サドルに手をやってちょこんと座ってる。
最近、蒼吾くんの自転車に乗せてもらってばかりだな。
そんな事を考えながら大きな背中をぼんやりと見上げた。

「寝てねーの?」
「…え?」
びっくりした。
見上げた背中が急にしゃべったから。
「顔色。あんまりよくねーから」
顔色?
思わず頬に手を当てる。
そういえば最近、肌の調子があまりよくない。
原因はたぶん睡眠不足。
「最近、遅くまで起きてるから…」
「なんで?」
「絵、描いてるの。明後日までに仕上げなきゃいけなくって」

あの日持って帰った真っ白なキャンバスは、パパの書斎に置かれていて。
その部屋は毎晩遅くまで、電気が消える事がない。
やっと見つけた描きたい題材に没頭してしまって、いつも遅くまで描いてる。
こんなふうに何かに打ち込むのは初めて。
何かに没頭してると他の事を考えなくてすむから。
嫌な事も忘れられる。
描きたい想いを全部キャンパスにぶつけるんだ。
今の私にできる事。
絵を描いてる時は、佐倉くんの事も忘れられる。


「間に合いそうか?」
「間に合わせなきゃ」
苦笑する。
「あまり無理すんなよ」
「うん。よかったら学園祭の時に見に来て?」
へたくそだけど。
「あ〜。俺、絵とかあんまりわかんねーけど…見に行くよ」
短くそう言って笑ってくれた。



駅への角を曲がると見慣れた看板が目に入った。
赤と黄色のミスドの看板。
トクンと胸が小さく跳ねた。
よく佐倉くんと寄ったお店。
「そういえばさ。あの時のドーナツ、食った?」
「…あ…」
「食ってないだろ?」
鋭いんだ。
「…ごめん」
申し訳なくて、思わず下を向いた。
蒼吾君が部活の前にわざわざ買ってきてくれたドーナツ。
ダイニングテーブルの上に置いたまま、それっきり。
たぶんママが食べたのかな。
「食って帰る?」
そう言って自転車が止まった。
ゴソゴソとジャージを弄って、ポケットからお財布を取り出した。
真っ赤なふわふわのエルモのお財布。
「それ…」
クラス費でしょ?
買い出し用にって預かったやつ。
「ちょっと拝借するだけ。後で返しとけばいいだろ?
それにドーナツのひとつやふたつ、わかんねーって。買出しのお駄賃。買ってって外で食おうぜ?」
振り返って嬉しそうに笑った。
こういう時の蒼吾くんはすごく楽しそうに笑う。
いたずらっぽい笑顔は、小学生の頃からちっとも変わらないの。
「園田は何がいい?」
返事も聞かずに自転車を止める。
もう買う気満々。
「…じゃあ、ポンデショコラ」
こうなった蒼吾くんは止まらない。
付き合うしかないの。
「ポンデショコラだな。了解。自転車見てて」
そう言って私に自転車を託すとお店の中に消えた。
トレイにいくつかチョイスしながら並ぶ後姿。
蒼吾くん、いくつ食べる気なのかな。
大きな背中を小さく丸めて選んでる真剣な表情が、なんだかおかしくって笑っちゃう。
そういえば凪ちゃんが言ってたっけ。
蒼吾くん、甘いものが好きだって。


「じゃ、行くか」
買ってきたドーナツの袋を籠にほり込んで、軽やかに自転車にまたがった。
「行くって…」
どこに?
「河川敷で食おうぜ」
そう言って、軽やかに自転車をこぎだした。





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魔法のコトバ*  Season7 キミに届け-3-
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魔法のコトバ* Season7  キミに届け-3-

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「え?学祭の係?」
凪ちゃんの言葉に、私は食べてたお弁当から顔を上げた。
「そ。学園祭の当日の係。ましろ、やってくれないかな?」
そう言って顔を覗き込む。

一週間後に学祭を控えた校中はすっかりお祭りムードだった。
午後の授業返上で、その準備に当てられる。
学園祭の実行委員に推薦された凪ちゃんは、毎日、昼休みや放課後返上で慌しく動き回っていて、この日も打ち合わせがあるとかで、早めに昼食を済ませた。
私はまだトロトロとお弁当を食べていて、凪ちゃんの言葉に食べかけの卵焼きを落っことしそうになった。

「なんで、私?」
そういうの向いてないのに。
「人が足りないの。当日、実行委員が出払う時間が多いからその間、本部の留守を預かってもらいたいんだけど…。頼まれてもらえないかな?」
お願い!って顔の前で手を合わせた。
最近の凪ちゃんはお疲れモード。
授業中、大きなあくびをしているのをよく見かける。
「いいよ」
留守番ぐらいなら、私でも出来そうだし。
「ほんと!?よかった〜助かる!ありがとう」
いつも凪ちゃんに頼ってばかりだもん。
たまには役に立つようなこと、しなくちゃ。
「じゃあ係の後、一緒に回ってくるといいよ」
凪ちゃんがいたずらっぽく笑った。
「Aクラスの当日係って佐倉」


え?
うそ…。

ドクリって胸が鳴った。
凪ちゃんがいたずらっぽく笑う。
してやられた。
あれから佐倉くんとは会わないようにしてたのに。
こんな形で一緒になるなんて。
どうしよう…。
「凪ちゃん。やっぱり私…」
「───日下部さん」
凪ちゃんを呼ぶ声に言葉が遮られた。
「時間〜」
窓から覗き込んだ隣のクラスの副委員長が、腕時計を指差した。
「やばっ。もうこんな時間?
ごめんましろ。詳しくはまた後で」
慌しくお弁当を片付けて、凪ちゃんは行ってしまった。
忙しいんだ。
「後でちゃんと断っておかなきゃ…」
大きなため息をついて、残ったおかずをほお張った。
「誰か午後から買出しに行ってくれない〜?」
教室の中で声がした。
「チャリ通の人だとありがたいんだけど〜」
「俺、行くわ」
そう言って男子がひとり手を上げた。
ジャージの上に制服のブレザーを羽織った男子。
蒼吾くん。
「じゃ夏木、よろしく。もうひとり連れてっていいから」
「誰でも?」
「人選は任せる」
「じゃあ……」
教室を見渡す蒼吾くんと目が合った。
「園田でいいわ」
「…え…?」
なんで、私?
「暇なんだろ?付き合えよ」
「え…」
ええっ?
驚いて目を丸くした私の腕を掴んで引き上げた。




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魔法のコトバ*  Season7 キミに届け-2-
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魔法のコトバ* Season7  キミに届け-2-

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「ましろちゃん?」
横顔が振り返った。
「来てたんだ。どしたの?そんなところで…」
いつもと変わらない優しい笑顔。
ホッとするのに泣きそうになる。
私、ちゃんと笑えてるかな。
「ましろちゃんのキャンバス、こっちにあるよ」
そう言って奥に置かれたキャンパスを指差した。
入り口からなかなか一歩の踏み出せない私をどうしたの?って笑う。
「これ」
そっと差し出す。
あの時貸してくれたハンカチ。
洗ってポケットにしまって返せないままでいた。
「怪我はもう大丈夫?」
「うん」
「あのまま帰っちゃったから気になってたんだ。部活もずっと休んでたし。調子、悪かったの?」
「ううん。大丈夫」
首を振る。
「それならよかった」
佐倉くんが笑って、またキャンバスに向かう。
止まっていた筆が動き出す。
表情が変わる瞬間。
真剣な横顔にコメカミの辺りがきゅうってなる。


『諦め方、わかんないや────』

凪ちゃんのコトバを思い出した。
可能性がなくても蒼吾くんを好きでいる事を選んだ凪ちゃん。
私にはできないよ。
凪ちゃんを想う佐倉くんを見てるのは辛い。
そう思うのに。
私、ずるいんだ。
佐倉くんをなくしたくないって思う。
100が駄目なら0だなんてそんなの嫌だよ。
そこまでまだ、気持ちの整理がつかない。
振り向いてくれなくてもいいから、側にいたいって思うのは私の我が侭なのかな。


「それ、持って帰るつもり?」
佐倉くんがキャンバスから顔を上げた。
「家でやろうと思って。なんか間に合いそうにないから」
まだ真っ白のキャンバス。
絵を描くことよりも、佐倉くんの横顔ばかり見てた。
「手伝おうか?」
佐倉くんの手がキャンパスに触れた。
「ううん、大丈夫。絵、続けて」
耳に掛けた髪が俯いた拍子にふわりと落ちた。
表情を誤魔化してくれる前髪は、やっぱり私には必要なんだ。

「そういえば…。蒼吾、補習受かったんだって?」
「…うん。聞いたんだ?」
「あの日、美術室に来てたから」
「よかったな」
「うん」
私は頷いた。
「じゃ、私行くね」
「絵、頑張って。楽しみにしてるから」
そう言って笑いかけてくれる佐倉くんに精一杯の笑顔を返す。
私、ちゃんと笑えたよね?


カタリ、と。
準備室の扉を閉めた。
生徒達がごった返す美術室は、ざわめきが止まらない。
踏み出したら夢から覚めたような感覚に飲み込まれそうになった。
佐倉くんのいる空間が嘘みたいで、今まで一緒に過ごしてきた時間が夢のような気がする。

佐倉くんの側は、春みたいに温かい陽だまりのようだった。
大好きだった場所。
隣にいるだけで幸せだったあの時間は、もう戻ってこない。
過ぎ行く人の流れをぼんやりと見送った。
窓から見上げた冬の空は眩暈がしそうなくらい青くて。
涙が出た────。




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魔法のコトバ*  Season7 キミに届け-1-


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魔法のコトバ* Season7  キミに届け-1-

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3日ほど部活を休んだ。
あれから佐倉くんとは顔を合わせてない。
誰かに聞いてほしかったけれど、こんな事を話せる友達は凪ちゃんしかいなくて。
でも凪ちゃんに話せるはずもなくて。
実のないぼんやりした日々を送った。
気がつけば文化祭まであと2週間足らずまで時が迫ってきていて。
4日目の放課後、私は仕方なく重い腰を上げた。



久しぶりに開けた扉の向こうは、びっくりするぐらい人が来ていた。
作品の提出締め切りに追われた幽霊部員や、画材を借りにきている生徒達。
美術室がいつもと違う空間に見える。
佐倉くんの姿が見当たらない。
張り詰めていた気持ちがちょぴり和らいだ。

まだ、佐倉くんと会う勇気がない。
彼の想いに気付かなかったフリをして、笑える自信がなかった。
会っても普通の顔できない。

「あ。園田さん」
顧問の清水先生に声を掛けられた。
目が合って、ぺこりと軽く頭を下げる。
「ずっとお休みしてたみたいだけど大丈夫?
三脚とキャンバス、準備室の方に移しておいたわよ。佐倉くんが管理してくれてるから聞いてみて。彼、そっちにいるから」
そう言われて、涙が出そうになった。
このまま会わずに帰ろうと思ってたのに。

「作品は間に合いそう? 頑張ってね」
そう言って清水先生は、大きな段ボール箱を抱えて慌しく部屋を出て行った。
慌しく流れる人波の中。
自分だけが取り残されているような感覚に飲み込まれそうになる。
お腹がチクリと痛んだ。
しっかりしなきゃ、ましろ。
ポケットに手をやると柔らかいものが指に触れた。
佐倉くんに借りっぱなしのハンカチ。
胸がチクリと痛んだ。



そっと準備室をのぞく。
いつもの指定席に佐倉くんの姿を見つけた。
差し込む陽だまりの中で、キャンパスに向かう真剣な横顔。
そこだけ時間が止まってるように見えて、胸の奥がきゅってなった。
大好きだった横顔を見るのが、今はすごく辛い。
視線を逸らそうとしても、知らず知らずのうちに目で追ってしまう。
そんな自分が嫌で、思わず涙ぐみそうになって鼻をすすり上げた。

時折、佐倉くんが窓の外へ視線をやる。
何かを見つけたその表情がフッって和らいだ。
筆が止まる。


あ。
なんだ…。
わかっちゃった。


佐倉くんの視線の向こう。
準備室の指定席の訳。
ひとつだけ閉まる事のない窓の理由。
いつもそこから凪ちゃんを見てた。
眩しそうに目を細めて、ずっと。
どれも凪ちゃんに思いを寄せる佐倉くんのサイン。
こんなにもわかりやすく出てたのに、どうして気付けなかったんだろう。


あの日、佐倉くんが私に言った言葉の意味は、全部凪ちゃんに向けた想いだった。
凪ちゃんは蒼吾くんが好きだから。
だから親友の私が蒼吾くんを好きになったら困る。
好きな人には笑っていてほしい。
悲しい思いをさせたくない。
だから────。

佐倉くんは気付いてる。
人の気持ちの微妙な変化に敏感な人だもん。
凪ちゃんが誰を見てるのか知ってるんだ。
それなのに───。

届かない想いは、どこへ行くんだろう。




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