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魔法のコトバ*  Season6 気付いた想い-7-
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魔法のコトバ* Season6  気付いた想い-7-

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にゅって。
顔の脇から手が出てきた。
「この色いいね。どうやって作ったの?」
佐倉くんが私がパレットに作った色をそっと筆に乗せる。
「鮮やで澄んでいて、綺麗な青だね」
柔らかな笑みを浮かべながら私の隣に腰を降ろした。
「何かあった?」
「……え…?」
「今日はもう、来ないのかと思ってた」
柔らかく笑って、私の顔を覗き込んだ。


放課後の補習授業。
いくら待っても蒼吾くんは現れなかった。
約束の時間がきても、一時間が過ぎても。
蒼吾くんも凪ちゃんも教室には戻ってこない。
忘れ去られたように、ふたりの鞄が机の上に残されたままだった。





「来てからずっと筆が止まったまま」
パレットに色が溢れているだけで、キャンバスは真っ白なまま。
「どうかした?」
何もかも見透かすような目で私を覗き込む。
胸の奥がきゅってなった。
今日あった事を彼に聞いて欲しい。
佐倉くんだったら何て言うかな。
泣き顔の凪ちゃんと、苛立ちを隠せない蒼吾くんの表情。
屋上でのふたりの会話が胸に焼きついて離れない。


「…なんでもないよ」


だって佐倉くんは関係ないから。
彼に話すのはルール違反だ。
それに佐倉くんまで巻き込んで、迷惑かけちゃだめだ。


「そう?」
優しく笑って、それ以上深くは聞いてこなかった。
無関心なんじゃなくて優しさ。
佐倉くんは人をよく見てる。
人の小さな気持ちの変化に敏感で、それでいて必要以上に詮索はしない。
そのバランスが絶妙で心地がいい。
佐倉くんといるといつも気持ちが穏やかでいられる。


「今日の髪、可愛いね。そのほうがいいよ」


席を立ちながら、佐倉くんが軽く頭に触れた。



う、わ…っ。



私は思わず目を瞑った。
佐倉くんの言葉ひとつで沈んでいた気持ちが浮上してくる。
何気ない言葉のひとつでさえ嬉しくて心の奥まで沁みこんでいく。
それひとつで何でも頑張れそうな気がした。
どうしようもなく彼に惹かれて行くのが分かる。



─── 私…佐倉くんが好きだ ───。



キャンバスに向かう横顔はいつも凛としていて、それを見るたびに胸の奥がきゅっとなる。
どうしようもないくらい切なくて、泣きそうになってしまう。
凪ちゃんもこんな気持ちだったのかな。
蒼吾くんに惹かれて想って。
ずっと気持ちを押し殺して、彼だけを見つめてきた凪ちゃん。
私、知らなかったよ。
凪ちゃんが蒼吾くんを好きだなんて。
きっとその時間は。
私が想像するよりも長く、重い。


凪ちゃんの想いが繋がればいいのに…。






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