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魔法のコトバ*  Season5 スキなひと-9-
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魔法のコトバ* Season5  スキなひと-9-

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「園田の泣いてる顔とか辛そうな顔とか。そんな顔ばかり思い出して、笑った顔が思い出せない。もうずっと。
お前、俺が話しかけるたびにいつも泣きそうな顔するだろ?自分で気付いてねーよな。…でもそれって、俺のせいだろ?───ごめん…」

ごつって机に頭がぶつかる音がした。
勢いあまって下げた頭がぶつかった。
本気で悪かったって思ってるのが全身で伝わる。


蒼吾くん、不器用だね。
そういうところ、ちっとも変わってないよ。
だってそんな事。
普段の何気ない時間に、サラって言ってしまえばいいのに。
謝るために先生を利用して、きっかけを作って。
ちゃんと向き合って誠意を見せてくれた。

私はあれからずっと、蒼吾くんから逃げてきた。
自分が傷つかないように。
もう泣かなくて済むように。
ちゃんと向き合おうとしなかった自分の弱さがすごく恥ずかしい。


「…もういいよ、夏木くん。頭、上げて?」


私の方こそごめんね。
ずっと逃げてばかりで。
初めて再会した時も、自転車で送ってくれた時も。
校門で声を掛けてくれた時も。
いつだってきっかけを探してくれていたのに。
私は逃げてばかりで、それにちっとも気付かなかった。
ううん。
気付こうとしなかった。
謝るのは私の方だ。

「私の方こそ、ごめんね」

「園田…?」

蒼吾くんがやっと顔を上げた。
机にぶつけたおでこがまだちょっぴり赤い。
「今まで逃げてばかりで、話も聞こうともしなくて…ごめんなさい…」
ちゃんと言えた。
「何で園田が謝るんだよ…。
じゃあ、許してくれるのか?今までの事。…キスしたこと、とかも」



呟かれた二文字の単語に。
あの日の記憶が鮮明に蘇って、顔がカーッって赤くなった。
忘れたくても忘れられない苦い思い出。

でも決めたんだ。
あの時のキスはカウントしないって。
私はあの日、凪ちゃんの言葉に救われた。
『好きでもない人とのキスなんてカウントに入らないでしょ!?』
って。
そう思えるようになるにはかなり時間がかかったけど。
おかげで随分気持ちが楽になった。
それに安部くんにされるよりは、よっぽどマシっていうのは。
蒼吾くんに失礼…かな。



────あ、れ…?

もしかして…。


あの時、蒼吾くんは庇ってくれたの?
興味本位とからかい半分で私にキスしようとしていた安部くんから。
前々からこうなるのは知ってて。
だから…。




「…園田?」
黙り込んでしまった私の顔を、心配そうに蒼吾くんが覗き込んだ。
「もういいよ。今さら時効だよ」
私は笑った。
「時効って。人を犯人扱いにすんなよ」
「だって、そうだもん」
「ひでーな」
そっか、そうなんだ。
都合のいい解釈かもしれないけど、そう思うとあの時の苦い思い出が。
ちょっぴり軽くなった気がした。



「じゃあ補習の話はナシなの?」
「あ、いや…。それは、真面目な話…」
バツが悪そうに頭を掻いた。
「そうなんだ」
「やばい、よな?」
「そう、だね」
さっきまで笑ってた蒼吾くんの顔が、ひどく真面目になった。
だからおかしくて、つい顔が緩んでしまう。
「何?」
「ううん、何でもない」
そういいながらも笑いが止まらない。
こんなの久しぶり。




そんな私の顔を。
蒼吾くんはちょっぴり嬉しそうに眺めていたっけ。

何だかくすぐったくて、変なの。





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