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魔法のコトバ*  Season6 気付いた想い-8-
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魔法のコトバ* Season6  気付いた想い-8-

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部活が終わると外はすっかり夜の気配だった。
陽が落ちるとずいぶん肌寒く感じる。
校舎を出たら思ったよりも風が冷たくて体が震えた。
「寒いな」
佐倉くんが呟いた。
「何か暖かいものでも飲んで帰ろっか」
私を振り返る。

帰りに覗いた教室の机の上に置かれた鞄はなくて。
陽が落ちたグラウンドは、陸上部も野球部も練習が終わった後。
校内にもふたりの姿は見当たらなかった。
あの後、どうしたんだろう。
もう、帰っちゃったのかな。
凪ちゃん、泣いてないかな。


「…ましろちゃん?」

間近で覗き込んだ佐倉くんと、視線がぶつかった。
瞳に映る自分の顔が確認できるほどに。
わ、顔近すぎ。
「あ…何だっけ?」
「腹、減らない?帰りにどっか寄ろっか?」
「うん」
「スタバとミスドならどっちがいい?」
「ミスド、かな」
ドーナツ大好き。
「じゃ、決まり。行こっか」
そう言って佐倉くんは歩き出した。
私もその後ろをついて歩く。
こういうやりとりって、彼氏彼女みたい。
いいのかな。
「ましろちゃん?」
「うん」
頬がほのかに熱い。
そのことに気付かれないようにマフラーをきつく巻きなおしながら、私は佐倉くんの隣へ駆け寄った。

「あれ…?」

校門まで数メートルのところで、佐倉くんが足を止めた。
見覚えのある人影。
肩までの真っ直ぐな黒髪にバーバーリーの水色マフラー。
大きく黒目がちな瞳が私を捕らえた。

「凪、ちゃん…?」

もしかしてずっと待ってたの?
色白の頬が寒さで真っ赤になってる。
「ましろと帰ろうと思って待ってたんだけど…。もしかしてお邪魔だった…かな?」
私と佐倉くんの顔を見比べる。
「そ、そんなことないよ。えっと…」
隣を見上げた。
佐倉くんも一緒に───ってわけにはいかないよね?

「借りたいCDあるからさ、レンタルショップ寄ってくよ。駅とは反対方向だし遅くなるから───」
トン、って軽く背中を押された。
「日下部と帰りなよ」
耳元でそっと囁く。
私、何も話してないのに…。
いつもこうやって表情ひとつで場の空気を読んじゃう。
何でもお見通しでまいっちゃう。
かなわないな、佐倉くんには。
「じゃあまたな」
バイバイと手を上げて駅と反対方向へと消えて行く佐倉くんを見送ると、胸の奥がきゅうってなった。
今までずっと一緒にいたのに。
また明日学校で会えるのに、寂しい気持ちになる。
思わず涙ぐみそうになって鼻をすすり上げた。

「帰ろっか」
私は笑って凪ちゃんの顔を見上げた。
「構わなかった?」
「私も凪ちゃんに会いたかったから」
「そっか。ありがと」
そう言って柔らかく笑った凪ちゃんと肩を並べて、駅までの道をゆっくり歩き出した。






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