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魔法のコトバ*  Season5 スキなひと-12-
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魔法のコトバ* Season5  スキなひと-12-

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「───田…、園田!」


気がついたら、蒼吾くんの顔がすごく近くにあった。
その顔をぼんやり見上げる。
私、何してたんだっけ?

「おまえ、大丈夫か?」
心配そうな顔で覗き込まれた。
視線が合わさって、記憶が鮮明になってくる。


…あ。補習───。


手元を見ると開いた参考書と筆記用具。
読んでいたはずの文庫本はいつの間にか手から落ちて、机の上に転がっていた。
開いたページの端が折れてる。

「珍しいな。お前が居眠りなんて」
蒼吾くんが失笑する。
「昨日、あまり眠れなかったから…」
佐倉くんの言葉が頭から離れなくて、気になって仕方なかった。
深い意味なんてないのに。

「平気?少し休むか?」
「ううん。大丈夫」
蒼吾くんが頑張ってるのに申し訳ない。
ていうか、どんな顔して眠ってたんだろ、私。
口、開けてなかった?
よだれ、垂れてないよ…ね?
「問題。できた」
蒼吾くんがプリントを突き出した。



────蒼吾の事、好きなの?



昨日の言葉が頭に浮んだ。
そっと視線を泳がせて、蒼吾くんを覗き見る。
シャープペンを手の甲でくるくると回しながら、ぼんやりと外を眺める横顔。
ちょうど教室の窓から野球部の練習風景が見える。
俺も早く行きてぇ、とか思ってるのかな。
手の甲で空色のシャープペンが器用に回る。
昔もよくそうやって授業中にペンや鉛筆を回してたっけ。
その姿をこっそり見るのが好きだった。


蒼吾くんとは、あれから普通に話せるようになった。
といっても、もともとすごく会話が弾んで仲が良かったわけでもなかったから、用事があれば言葉を交わす程度で他のクラスメイト達と変わらない。
昔のように彼の言葉に一喜一憂したり、仕草ひとつにドキドキしたり、切なくなったり。
そういう気持ちはない。
あの頃、好きだった気持ちに嘘はないけど。
それは時間が経つにつれて薄れてしまった。
あの事件がなかったら、もしかしてまだ好きだったりしたのかな?
でも今は、ただのクラスメイト。
特別な感情があるのなら、蒼吾くんよりもむしろ────。



「ましろちゃん」


私は弾かれたように顔を上げた。
トーンが高めの聞き覚えのある声。
振りかえると廊下に佐倉くんが見えた。
ドクンって、心臓が跳ねた。





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