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魔法のコトバ*  Season6 気付いた想い-9-
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魔法のコトバ* Season6  気付いた想い-9-

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駅までの道のりは他愛のない会話をして歩いた。
屋上での事がずっと心の奥に引っかかってたけど、凪ちゃんが話さない限り
私からは言い出せなくて。
普段ならなんてことのない短い距離が、とても長く感じた。

「寄ってこっか?」
凪ちゃんが指差した駅のすぐ側にあるミスドの看板。
「お腹、すかない?」
そう言われてお腹が小さく音をたてた。
そういえばお昼、食べ損なったんだっけ。
「ましろ、ドーナツ好きでしょ?」
うん、大好き。
私は大きく頷いた。
「じゃ、入ろうっか」
そう言って凪ちゃんはミスドの扉を開けた。






自分で好きなドーナツをチョイスして、飲み物を頼んで席に着いた。
私はハニーチュロとホットミルクティ。
入れたてのカップからはやんわりと湯気が上がる。
「いつも佐倉と寄ってるの?」
マフラーを外しながら凪ちゃんが聞いた。
「時々だけど…」
えへへと笑いながらカップに手を添える。
冷えた手に伝わってくる温度が、温かくて気持ちいい。
ゆっくりカップを持ち上げてそれを口を運ぶ。
じんわりと体の芯から暖まる。
凪ちゃんへと視線を泳がせると、ぼんやりとお皿の上にのかったドーナツを見てた。

「甘いの好きな男って、どうなんだろうね?」
「え?」
「あ、ごめん。佐倉のことじゃないよ?」
そう言ってコーヒーカップに手をやると、視線を落とす。
砂糖もミルクもなしのブラック。
大人だなって思う。
私は甘いカフェオレでさえ苦手。
「蒼吾のこと。あいつ、みかけによらず甘いの好きなんだよね」
蒼吾くんが?
ちょっと意外。


「今日、変なところ見せちゃってごめんね?」
凪ちゃんが話を切り出した。
びっくりしたでしょ?って、髪に手を添えながら笑う。
耳にかけてた黒髪がサラリと落ちた。
「凪ちゃんの好きな人って…夏木くんだったの?」
恐る恐る聞くと、
「…うん、そう。ごめんね?ずっと黙ってて」
凪ちゃんが申し訳なさそうに笑った。
「私ね…蒼吾の事がずっと好きだったの。中学の時に告白して、でも駄目で。
幼なじみの関係を壊したくなかったから、もう好きじゃないふりして普通に振舞ってたんだけど…蒼吾、気付いてた」
そう言ってぼんやりと外を見つめた。
外は学生や帰路を急ぐ人達が行きかう。
「まだ私が好きなの気付いてるくせに、自分の友達紹介して…。あ、だから紹介したのかな。自分から遠ざけるために」
それって、今朝の人?
隣のクラスの守口くん。
爽やかで感じのいい好青年。
ちょっと蒼吾くんと雰囲気が似てる。

「日曜にね、蒼吾が買いたいものがあるから付き合ってくれって。そんなの今までになかったから嬉しくって。
そしたら待ち合わせ場所に守口くんも来てるの。てっきり蒼吾とふたりだと思ってたからショックで…」
苦笑しながら髪に手を当てる。
「アイツいいやつだからって、私と守口くんを置いて帰っちゃうの。
それってひどくない?」
凪ちゃんは笑う。
でも目がちっとも笑ってないの。
「だから蒼吾に言ってやったの。もう、我慢できなかった……」
きゅって凪ちゃんは唇を噛み締めた。

「いつから…夏木くんの事、好きだったの?」

ずっと疑問に思ってた。
ふたりは昔からの幼なじみで。
私と知り合うもっと前からずっと一緒で。
どんなきっかけで蒼吾くんを好きになったのか。
いつからそんな思いを抱えてきてたのか、ちゃんと知りたい。

だって。
全然気付かなかったよ、私。
凪ちゃんとずっと一緒にいたのに。
親友なのに。
そういう気持ちに気付いてあげられなかった。
凪ちゃんは、私が一番辛かったあの時。
毎日、嫌でたまらなかった学校生活から助けてくれたのに。
私は何もしてあげられなかった。


「──わかんない…」
しばらく沈黙があって、凪ちゃんがゆっくりと顔を上げた。
「家が近所で、昔からずっと一緒で。気がついたら好きになってた。
好きって気持ちに気付いたらどんどん好きになっちゃって。何度もあきらめようと思ったけど、駄目だった…」
最後は困ったように笑った。
「蒼吾は、私なんかちっとも見てくれないのにね」
気持ちが痛い。
「あの後、蒼吾に…迷惑だって言われたんだ」
「…え?」
「なんでそこまでストレートなんだろうね、蒼吾って。
いつでも真っ直ぐで、飾らない蒼吾だから好きになったのに、そんな風に正面切って言われると、正直ショックだった。
わかってたのに…。幼なじみの関係を壊したくないって私の気持ちを気遣って、普通に振舞ってくれてたのに…また自分から壊しちゃった」
頬に当てた手をきゅっと握る。
行き場のない気持ちを握りしめるかのように。


「だめだね、私。諦め方、わかんないや────」



そう言って笑う凪ちゃんの顔は、今にも泣き崩れてしまいそうだった。






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