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魔法のコトバ*  Season6 気付いた想い-11-
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魔法のコトバ* Season6  気付いた想い-11-

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翌日。
蒼吾くんは何食わぬ顔で補習に出てきた。
正直、会わす顔がなかったからどうしようってビクビクしてたんだけど。
態度は思いっきり普通。
いつものように参考書を開いて問題を解く。
言葉数は少ないけれど、それでも普通に話してくれる姿にホッとしたり。
でも。
昨日のことは何も触れない、話さない。
その事に関しては『聞くな』のオーラが出ていて。
私は何も聞けなかった。



凪ちゃんがずっと好きだった蒼吾くん。
長い間一緒にいると、恋愛関係にはなりにくいってよく聞くけれど。
幼なじみってそんなものなのかな。
凪ちゃんは私が想像していたよりもずっと長い時間、蒼吾くんだけを見てきた。
それでも想いが届かないって、辛いな。
ぼんやりと蒼吾くんを眺める。
険しい顔をして大きな手で頭を掻きながら、問題集に視線を落とす俯いた横顔。
睫毛、意外に長いんだ…。


「なに?」


低い声がした。
「さっきからずっと見てるだろ、本読むふりして」
蒼吾くんが頭を上げた。

「何か言いたい事、あんだろ?」

パタンって問題集を閉じて、こっちを見た。
う、わ…。
なんか機嫌が悪いよ。
怒ってる。


「言っとくけど、女の友情を俺に押し付けるのはやめてくれよ」
「そんなんじゃ…」
「じゃあ何だよ?」
イライラしてるのがひしひしと伝わってきて涙が出そうになった。
蒼吾くんが大きなため息をついた。

「どこから聞いてた」
「…え?」
「昨日の話」

「あ、えっと…。あいついいやつだぞ、辺りから…」

律儀に本当の事を言ってしまう私。
ほんと、バカ。
はぁーってまた、大きなため息がした。


「聞くつもりはなかったんだけど…ごめんね…」

頭を下げた。
また大きなため息。
すっかり呆れてる。

「…ごめん…」

「…もういいよ。その話、なしな」

めんどくさそうに頭を掻いて、蒼吾くんはやりかけの問題集にまた視線を落とす。
しん、と。教室に静寂が戻り。
パラパラとページをめくる音と、シャープペンが紙の上を滑る音だけがやけに耳につく。


「…ね?」
「なに?」
「どうして…凪ちゃんじゃ、ダメなの?」

綺麗でスタイルも良くて、勉強も運動もできて。
背筋をしゃんと伸ばして真っ直ぐ前を向く姿は、いつも凛としていてかっこよくて。
女の子から見たって凪ちゃんは完璧だ。
あんな大きな目に見つめられて。
艶のある唇で好きだって囁かれたら。
落ちない男の子なんていないと思ってた。
どうして凪ちゃんじゃダメなの?


「なしって言ったろ?」
「でも…」
「俺、好きなやつ、いるんだよ」
「…え…?」

「そいつ以外、考えれれない。だから、日下部とは付き合えない」
「でも……」

「お前、佐倉のことが好きなんだろ?」

蒼吾くんがため息混じりに口を開いた。
どうしてそこで佐倉くんの話が出てくるの?




「もし俺が園田のこと好きだって言ったらお前、俺と付き合うのかよ?」




───え?



真剣さを灯した視線とぶつかった。
心の中まで見透かすかのように、じっと私を見据える。
あまりにもじっと見つめてくるから、居心地が悪くなってじわりと視線を泳がせた。

「…えっと…」

何て答えていいのか分からない。
たとえ話だってわかっているのに、蒼吾くんの目があまりにも真剣だから頭の中がぐちゃぐちゃになって、うまく言葉にならない。

「佐倉が好きなのにいくら俺が告ったからって付き合わねーだろ?」
「…うん…」
「それと一緒。無理なんだよ」

そうだよね。
同情やその場の感情で付き合えちゃうほど蒼吾くんは器用ではないし、そんな中途半端なことができる人ではないこともわかってる。
だけど。
大好きな凪ちゃんのあんな顔を見るのはすごく辛い。
彼女にはいつも笑っていてほしいから。
少しでも力になってあげたいって思っちゃうんだ。



「でも…好きでいるのくらい、いいでしょ?」


好きでいるのも駄目なんて。
そんな悲しいこと、言わないで。




「…あのなぁ」
呆れたようにため息を落として、蒼吾くんが顔を上げた。
「おまえ、カンケーないだろ?
俺と日下部の問題。それにこの話はもう終わったんだ。口出しすんな」

終わってないよ。
まだ凪ちゃん、蒼吾くんのこと好きだよ。
そんな風に言わないで。
凪ちゃんの気持ちをそんな粗末にしないで。


「もういい。補習、今日で終わりな」
「…え、まだ…」
「やってられるかよ。こんな状況で」
そういいながら乱暴に筆記用具や問題集を閉じた。
「でも…」
「あとは自分でやれる。貴重な放課後の時間につき合わせて悪かったな」
大きなスポーツバッグを肩に掛けると、蒼吾くんが立ち上がった。
こっちも見ずに。


「ちょ…っ、夏木くん!」


無視して教室を出て行く。

「待って…っ」

寸でのところで腕を掴んだ。
どうしよう、怒らせちゃった。


「ごめん。…私、そんなつもりじゃ…」


それ以上、言葉が続かない。
ジンと目頭が熱くなった。
こんなところで泣くのは卑怯だって分かってるのに、涙が込み上げてくる。



「…だから嫌だったんだ。お前に聞かれるの」



ポツリと。
蒼吾くんが吐き捨てるように言った。

「もうほっといてくれ」

するりと掴んだ腕が離される。
行き場のなくなった手がパタリと宙を切った。



私は追いかけることも引き止めることもできなくて。
ただ。
蒼吾くんの背中を見送ることしかできなかった。







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