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魔法のコトバ*  Season6 気付いた想い-13-
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魔法のコトバ* Season6  気付いた想い-13-

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それから。
蒼吾くんと話せないまま時間だけが過ぎて。
とうとう追試を受ける日がやってきた。
私が教えてあげられたのは、テスト範囲の半分にも満たない。
残りの半分は教えられないまま。
蒼吾くん、どうしたんだろう。
部活は普段通り出てた。
休み時間に勉強をしている風でもなかった。
授業中に至っては、半分以上居眠りしてた。
私があんな事を言い出さなければ、蒼吾くんを怒らせることもなく最後まで教えてあげられたのに。
もし今日の結果が駄目だったら、私のせいだ…。



「ましろちゃん。座ったら?」
追試の結果報告を待つ間、落ち着くことが出来ない私を見て、佐倉くんが苦笑交じりに声を掛けた。
「そわそわしても結果は変わんないんだしさ、少し落ち着いたら?」
そうだよね。
私がオロオロしたところで何も変わらない。
今は蒼吾くんを信じて待つしかない。
気持ちを落ち着かせるために、大きく息を吸い込んだ。
溜息と一緒にゆっくり息を吐き出すと、ほんの少し気持ちが落ち着いた。
そんな私を見て佐倉くんが苦笑して。
また、描きかけのキャンバスに向う。
横顔が真面目な顔に変わる。
キャンバスに向かう佐倉くんはまるで別人。
凛とした横顔は、真剣で格好いいんだ。
そんないつもと変わらない佐倉くんの横顔を見たら、気持ちが和らいだ。


「ましろちゃん。デッサン用の鉛筆、取ってくれる?」
「あ、うん…」
画材ケースの中に手を突っ込む。

「…っ痛…」

何か鋭いものが指を掠めた。
刃先が少し出たまましまわれたカッターナイフ。
確認もしないで手を突っ込んだから、右の人差し指が切れてじわりと血が滲んだ。


「大丈夫?」
佐倉くんがキャンバスから顔を上げた。
「うん」
反対の手で制服のポケットを探る。
ハンカチ、鞄の中だ。

「追試のことばっか気にしてるから…。見せて」

佐倉くんが手を引いた。



…え。


う、そ―――。




頭に血が上るのが分かった。
だって、だって、指。
唇触れてる。


母親が小さい子どもにするみたいに、佐倉くんが傷口を唇で覆った。
指から伝わってくる唇の感触がやけに生々しい。



「さ、さ、佐倉…くんっ…!」

「なに?」

「…手…」

きょとんと一瞬、目を丸くして。

「あ、ごめん」

パッと手を離した。
私は思わず手を引いて、下を向く。
どうしよう。
顔が上げられない。

「小さい頃、よく母親がこういうのやってくれなかった?だから、つい。
嫌だったよな?ごめんな」

クシャリ。
頭を撫でた。
私は下を向いたまま首を大きく横に振る。


ううん。
ううん。
いやじゃないよ、嬉しかった。
嬉しくて嬉しくて。
どうしようもない気持ちが溢れてきて、胸の奥がきゅうってなった。
目頭がじんと熱くなる。
佐倉くんに好きって言ったらどんな顔するかな。
そんなの迷惑にきまってる。
この気持ちはまだ、伝えない方がいい。
溢れてしまいそうな好きっていう言葉を私はぐっと飲み込んだ。




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