http://miimama.jugem.jp/

スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

- - -
魔法のコトバ*  Season8 初恋〜サイド凪-14-
*******************************************

魔法のコトバ* Season8  初恋〜サイド凪-14-

*******************************************


あの時の蒼吾の顔は忘れられない。
いつも大口開けて笑ってる口元が。
ボールを追って真剣にきゅって結んだ口元が。
ぽかんって。
半開きになって驚いたように私を見つめた。







「……好き。蒼吾が、好き………」

言うつもりなんてなかった。
ずっと胸に秘めていくんだって決めていたのに。
一度口からあふれ出してしまった気持ちが止まらない。
もうひとりで抱え込むのは限界だった。


「好き。大好き…っ」







「………日、下部………」


ぽかんって半開きになった口元が。
小さく動いて名前を呼んだ。
顔が歪んだ。
すごく辛そうに困った顔をした。










「ごめん、俺…」


初めて知った私の想いに、動揺の色。
すごく困ってる。
だって、目を見てくれない。
いつだって真っ直ぐに人の目を見て話す蒼吾が、困ったように目を伏せてこっちを見ようともしない。



「………どうして? …なんで謝るの?」
そんなに簡単に謝らないでよ。
「私じゃ、駄目なの?」
「………」
「もう、ましろはいないんだよ?」
見上げたその顔が、ひどく困った顔をする。
ほんとは。
そんな顔をするんじゃないかって分かってた。



「ごめん、日下部…ごめん………」


体の横で握り締めた蒼吾の拳が震えてた。


「…俺にはできねーんだよ。
あいつにとっての俺はただのクラスメイトで、忘れたい記憶なのかもしれねーけど。忘れらんねー。
あいつへの気持ち、捨てることなんてできねーんだよ」
すごく切なそうに言うんだ。
「…そうやって、ずっと待つの?」
いつまで?
「もうましろは、帰ってこないんだよっ!?」
蒼吾の胸にすがりついた。
みっともないくらいに。


「…わかってんだよ。そんなこと」
目を伏せたままで、蒼吾が小さく笑った。
「でも、駄目なんだ。
俺、ずっと頭から離れねーんだよ。あいつの泣き顔が。
キスしたあの日から、ずっと。園田の笑った顔が思い出せねえ。忘れなれない。園田以外、考えられない。
だから……ごめん。ごめんな…」
すごく切なくて困ったような顔。
蒼吾はあの時のましろの話をする時、いつもこんな顔をする。
私では引き出せない、ましろを想って見せる表情。
切なくてみじめで涙が溢れた。






「なんで…? なんで、ましろなの……?」


私の方が長いのに。
ずっと一緒にいるのに。
もう、ましろはいないのに…っ。



「……俺の、初恋なんだよ。
あいつが戻ってきても戻ってこなくても、俺。あいつの事は一生忘れらんねぇ」
だからごめん、って。
頭を下げた蒼吾。
「な、に。それ…」
声が震える。
「そんなの…っ、私だって───」
初恋だったよ。
初めて好きだって、愛しいって思えたのが蒼吾だった。
でも。
気がついた時には、蒼吾はもうましろを見てて。
苦しくて、切なくて。
何度も何度も諦めようとしたけど駄目だった。
私だって。
蒼吾のこと、初恋なんだよ───?




答えなんて最初から分かってた。
やっぱり、言うんじゃなかった。
でももう。
私には溢れ出す気持ちを押さえることなんてできなかった。







NEXT→



魔法のコトバ*  Season8 comments(0) -
スポンサーサイト
- - -
Comment








<< NEW | TOP | OLD>>