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魔法のコトバ*  Season6 気付いた想い-16-
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魔法のコトバ* Season6  気付いた想い-16-

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その綺麗な横顔の人物画は間違えなく私の親友、凪ちゃんだった。
私は震える手でその絵を取り上げた。

絵の中の凪ちゃんはデッサンのモデルとして描かれた物ではなくて。
何気ない日常の姿をスケッチしたもの。
それは全てどこか遠くを見つめている表情ばかりで、正面を向いている絵は1枚もなかった。
凪ちゃんが想う人は蒼吾くんだから。
彼女の見つめる先はここではないから。
ここから見つめる佐倉くんの視線になんて気付くはずもない。
切なくて。愛おしくて。
溢れる想いが絵から伝わってくる。
恋っていうフィルターがかかったデッサン。




「園田───…」


蒼吾くんの声で現実に引き戻された。
鼓動が激しく波打ったまま治まってくれない。


「それ…」

窓の外から覗き込んだ表情が強張るのが分かった。



「あ…うん…」

呆れるくらいにぼんやりと返事をして、残りの絵を拾い集めた。
「絵、汚れてないかな?」
丁寧に集めてトントンと端をそろえる。
手が震えてる。
しっかりしなきゃ、ましろ。

「ドン臭くてだめだね」

えへへって笑ってみせる。
ちゃんと笑えてるのかな。



「園田───」



何か言いたそうに蒼吾くんが私を見つめる。
ドクリと、胸が突きあげた。
お願いだから、何も言わないで。


「…園田」

蒼吾くんの口が動きかけた時。

「────私…っ。
用事思い出したから、先に帰るねっ!」

自分から言葉を遮った。

「佐倉くんに先に帰ったって、伝えておいてもらえる?」

精一杯笑顔を作りながらスケッチブックをもとあったところに返す。
見なかった事にした方がいいんだ、これ。

「園田!」


「…ごめん、佐倉くんに伝えて」



私は走り出してた。
もう振りかえれない。



もう。
何も見えなくなった───。







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