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魔法のコトバ*  Season6 気付いた想い-18-
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魔法のコトバ* Season6  気付いた想い-18-

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「…お前、すげーひどい顔」

蒼吾くんに言われて私は顔に手を当てた。
鏡を見なくても分かるくらいむくんでる。
きっとひどい顔。
「だから俺、言っただろ?あいつはやめとけって」
蒼吾くんが真面目な表情で切り出した。
「知ってたの…?」
佐倉くんの凪ちゃんへの気持ち。
「俺の方が付き合い長いんだ。知ってたよ、そんなの。
とっくの昔に───」

そっか。
そうなんだ。
だからあの時、私に忠告してくれた。


「…私、馬鹿だよね。ちっとも気付かなかった」


佐倉くんの何を見てたんだろう。
凪ちゃんを好きだっていうサイン、分かりやすく出てたのに。
自分の気持ちに舞い上がって、周りが見えなくなって。
どうかしてた。
全然気付けなかった。
悲しくて。辛くて。惨めで。
いろいろな感情が思考の中で渦巻いてぐちゃぐちゃになった。


「行くぞ。ちゃんと掴まってろよ」
「ん…」
「サドルじゃなくて」
ぐっと腕を掴まれた。
「こっち───」
掴んだ手を蒼吾くんの脇腹に回す。
ぽすんと頬が背中に触れた。

「い、いいよ、大丈夫だから…」
触れた身体を慌てて離す。
「大丈夫なわけねーだろ?」
怒ったように苛立った声が空から降ってきた。
「我慢すんなよ」
もう一度自転車から降りて、蒼吾くんが私の手からタオルを取った。

「…園田の辛い顔見てっと、こっちまで伝染する。見てるこっちの方がつれーよ。だから…」

─── もう、あいつはやめとけ ───

そう言ってタオルを私の頭からそっとかぶせた。
泣き疲れた顔を優しく包む。
冬の匂いに混じって蒼吾くんの匂いがした。

「ちゃんと掴まっとけ」

短くそう言って自転車をこぎ出す。
河川敷の風の冷たさが頬に触れた。





そっか。
私、失恋しちゃったんだ────。




涙が止まらない。
行き場のなくなった想いがあふれて。
気付いてしまった想いは切なくて。
私は蒼吾くんの背中で、声を押し殺すように泣いた。
涙が止まらなかった。

何も聞かずにゆっくりと自転車を漕ぐ蒼吾くん背中が優しくて、温かくって。
泣けた。



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