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魔法のコトバ*  Season7 キミに届け-1-


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魔法のコトバ* Season7  キミに届け-1-

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3日ほど部活を休んだ。
あれから佐倉くんとは顔を合わせてない。
誰かに聞いてほしかったけれど、こんな事を話せる友達は凪ちゃんしかいなくて。
でも凪ちゃんに話せるはずもなくて。
実のないぼんやりした日々を送った。
気がつけば文化祭まであと2週間足らずまで時が迫ってきていて。
4日目の放課後、私は仕方なく重い腰を上げた。



久しぶりに開けた扉の向こうは、びっくりするぐらい人が来ていた。
作品の提出締め切りに追われた幽霊部員や、画材を借りにきている生徒達。
美術室がいつもと違う空間に見える。
佐倉くんの姿が見当たらない。
張り詰めていた気持ちがちょぴり和らいだ。

まだ、佐倉くんと会う勇気がない。
彼の想いに気付かなかったフリをして、笑える自信がなかった。
会っても普通の顔できない。

「あ。園田さん」
顧問の清水先生に声を掛けられた。
目が合って、ぺこりと軽く頭を下げる。
「ずっとお休みしてたみたいだけど大丈夫?
三脚とキャンバス、準備室の方に移しておいたわよ。佐倉くんが管理してくれてるから聞いてみて。彼、そっちにいるから」
そう言われて、涙が出そうになった。
このまま会わずに帰ろうと思ってたのに。

「作品は間に合いそう? 頑張ってね」
そう言って清水先生は、大きな段ボール箱を抱えて慌しく部屋を出て行った。
慌しく流れる人波の中。
自分だけが取り残されているような感覚に飲み込まれそうになる。
お腹がチクリと痛んだ。
しっかりしなきゃ、ましろ。
ポケットに手をやると柔らかいものが指に触れた。
佐倉くんに借りっぱなしのハンカチ。
胸がチクリと痛んだ。



そっと準備室をのぞく。
いつもの指定席に佐倉くんの姿を見つけた。
差し込む陽だまりの中で、キャンパスに向かう真剣な横顔。
そこだけ時間が止まってるように見えて、胸の奥がきゅってなった。
大好きだった横顔を見るのが、今はすごく辛い。
視線を逸らそうとしても、知らず知らずのうちに目で追ってしまう。
そんな自分が嫌で、思わず涙ぐみそうになって鼻をすすり上げた。

時折、佐倉くんが窓の外へ視線をやる。
何かを見つけたその表情がフッって和らいだ。
筆が止まる。


あ。
なんだ…。
わかっちゃった。


佐倉くんの視線の向こう。
準備室の指定席の訳。
ひとつだけ閉まる事のない窓の理由。
いつもそこから凪ちゃんを見てた。
眩しそうに目を細めて、ずっと。
どれも凪ちゃんに思いを寄せる佐倉くんのサイン。
こんなにもわかりやすく出てたのに、どうして気付けなかったんだろう。


あの日、佐倉くんが私に言った言葉の意味は、全部凪ちゃんに向けた想いだった。
凪ちゃんは蒼吾くんが好きだから。
だから親友の私が蒼吾くんを好きになったら困る。
好きな人には笑っていてほしい。
悲しい思いをさせたくない。
だから────。

佐倉くんは気付いてる。
人の気持ちの微妙な変化に敏感な人だもん。
凪ちゃんが誰を見てるのか知ってるんだ。
それなのに───。

届かない想いは、どこへ行くんだろう。




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