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魔法のコトバ*  Season7 キミに届け-9-
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魔法のコトバ* Season7  キミに届け-9-

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耳元で聞こえた言葉に、頭の中が真っ白になった。
私を抱きしめる蒼吾くんの力が、どんどん強くなる。
ゴツゴツとした指が私の髪にもぐって、頭から包み込むように抱きしめて。
私の体が全部、蒼吾くんの中に、すっぽり埋まってしまうんじゃないかって錯覚しそうになる。

「──俺だって限界なんだよ。園田のそういう顔、見んの…っ」


こんなに大きい人だったっけ。
背の高さ。抱きしめた腕の力強さ。寄せた胸の広さ…。
私の記憶の蒼吾くんは、小学生のまま時間を止めたまま。
気がつけば、こんなに逞しく、男らしくなっていたなんて。
自分と違う部分をリアルに体で感じて、ドクリと胸が突き上げた。


「もう園田の困った顔とか見たくねーから、佐倉のこと、好きなの知ってたから言えなかった。
でも俺だって園田が好きなんだよ…っ」

そんなの。
困る。
だって。
蒼吾くんは凪ちゃんがずっと想っていた人なのに…。


「離し、て…っ」

ありったけの力で蒼吾くんの体を押しやった。
なのにそれは簡単に引き戻される。
「園田…っ」
「…ヤダ…っ」
「ちゃんと、こっち向けって!」
「…嫌…っ」
「逃げんな、園田っ。…──頼むから…っ」
大きな手が私の頬を包み込んで、俯いた顔を上へと向かせる。
覗き込んだ蒼吾くんの瞳と視線が絡まって、逸らすことができなくなった。
初めて、こんな間近で彼を見た。
今にも泣き出しそうな表情に小さく胸が痛む。

こんな表情、初めて見た…。
蒼吾くんも必死なんだ。
私が佐倉くんを追いかけていたみたいに。
凪ちゃんが蒼吾くんを追いかけていたみたいに。
恋愛はなりふりなんて構ってられない。

頬を包み込んだ手のひらが、そっと目元を撫でた。
零れ落ちていく涙を指で掬う。

頬を包む大きくてゴツゴツした手のひらは、毎日ボールを握る手。
筆で世界を作り出す佐倉君の繊細な手とは全く違う、
男の人の、手───。


「…ごめん、なさい…っ。私…っ」


意識したら、急に怖くなった。
蒼吾くんが知らない男の人みたいな感じがして。
肩をよじって、抱きしめた腕を押しやって、必死にそこから逃げ出した。
「逃げんなよ…っ」
そんな私を捕まえて、抱きしめて、また腕の中に閉じ込める。
「…頼むから、俺から逃げんな…っ」
蒼吾くんが抱きしめた腕に力を込めた。
息苦しいくらいにぎゅって。
眩暈がする。
蒼吾くんの匂い。
抱きしめた腕で髪を撫でる手。
切なそうな声が。
びっくりするぐらい男の人で。
まるで魔法にかかったみたいに私は、動けなくなった。




「───ましろ…っ!」



私を追って駆けつけてくれた凪ちゃんの姿が。
蒼吾くんの背中の向こうに見えた。
ビクリと体を震わせて、それが止まった。




何かが。
音を立てて、壊れたような気がした────。





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