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魔法のコトバ*  Season8 初恋〜サイド凪-2-
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魔法のコトバ* Season8  初恋〜サイド凪-2-

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「───な、あいつ。なんて名前か知ってるか?」
蒼吾が聞いてきた。
あれは小学校3年生の夏。










野球のこととか、今日の給食は何かとか。
どうやったら宿題をやらずにすむか、とか。
そんな事ばかり考えてるようなやつで。
女子はすぐ怒るし泣くしでめんどくせーみたいな蒼吾が。
好きな子とか、恋愛とか。
全く興味のなさそうだった蒼吾が、口にした言葉。
「あいつ。あのフワフワした髪のやつ」
そう言って指差した女の子。
色が白くって髪とか目とか色素が薄くて茶色くて、ぽやぽやした女の子。
確か隣のクラスの。
「ましろちゃん……だったかな」
「ましろ?」
「うん。園田ましろちゃん」
確かおじいちゃんか誰かが外国の人とか。
だから目の色とか髪の毛とか、色素が薄くて茶色いの。
その噂は結構有名。
「ふ〜ん。名前までフワフワしてんだな」
そう言ってちょっぴり頬を染めて、眩しそうに見つめる蒼吾の姿に。
軽い胸の痛みを覚えた。


私の初恋は、失恋と同時だった。
気持ちに気づいた時には。
蒼吾はもう、ましろのことを見てた。





園田さんは色が白くって。
髪とか目とか色素が薄くって、ちっちゃくて可愛いの。
ましろって名前の通り、真っ白でふわふわした感じ。
特別美人ってわけじゃないけど、目がくりんとまん丸で可愛らしいの。
なんか絵本に出てきそうな柔らかい雰囲気の女の子。
私とは正反対なタイプ。
周りの女の子とちょっと違った雰囲気で、人目を惹く。
男子なんて。
「アイツに話しかけて、英語で返されたらどうしよう!」
とか言ってるの。
ばっかじゃないの?
ちゃんと日本人だよ。
だって日本語、話してるじゃない。
ほんと男子ってバカ。
「日下部さん?」
「…え…?」
「プリント」
前の席の子が振り返って、回ってきたプリントを机の上に置いた。
「どうしたの?顔、すっごく怖いよ?」
いけない、顔に出てた。
「何でもないよ」
笑って顔を作る。
私、何でこんなにイライラしてるんだろう。
たぶん原因はあいつ。
蒼吾。
家が近所の幼なじみ。
元気で明るくて気のいいやつ。
勉強嫌いでちょっと馬鹿なところはあるけど、曲がった事が大嫌いな真っ直ぐなやつ。
野球をやってる姿は結構様になってて、馬鹿丸出しのクラスの男子とはちょっと違う。
蒼吾の事が気になってる女子って結構いるんだよね。
なのに。
あのコトバを口にした日から。
蒼吾の視線の先には、ずっとあの子がいる。
あの日から私は、ずっとイライラしてるのかもしれない。






春、4月。
私達は4年生に進級した。
体育館の横に貼りだされた新しいクラスメイトの一覧表。
同じ4年1組の欄に蒼吾の名前を見つけた。
同じクラスなんだ。
また同じ教室で1年間一緒に生活できるんだ。
って、自然に顔がへらって緩む。
嬉しくて。
スキップでもしているような軽い足取りで新しい教室に踏み込んだ。
でも。
その足が新しい教室の入り口で、動けなくなってしまった。
教室の中に見つけた女の子。
園田ましろちゃん。
すごく不安そうな表情で席を探している後姿。
ひとめで分かった。
窓から吹き込む春の風で彼女のふわふわの髪がゆれる。
差し込んだ春の日差しが彼女の髪に反射して、ますます茶色く見える。
肩まで伸ばしたふわふわの髪は柔らかそうで、タンポポの綿毛みたい。
相変わらず目がくりんとしてて可愛いんだ。
胸の奥がざわざわと音を立てた。
……なんだ。
彼女も一緒なんだ。





園田さんは女子にはいまいち受けが悪い。
近寄りがたい容姿に、おとなしい性格。
何よりも一番の決め手は蒼吾。
新学期早々、園田さんの隣に座ったあいつ。
他の席だって空いてるのに。
そこ、前から2番目だよ?
授業中、いつも隠れるように居眠りしているやつが、堂々と前の席。
今までの蒼吾だったらありえない。
給食のデザートやるから後ろの席と変われ〜とか、交渉してまで後ろに座りたがるくせに。
理由は分かってる。
園田ましろちゃん。
彼女の隣で窓の外を眺めながら嬉しそうに笑ってるんだ。
目尻がこれでもかってなぐらい下がってる。
顔をくしゅくしゅにして笑った顔。
あんなに柔らかく嬉しそうに笑う蒼吾、初めて見た。
その隣で口元に手を当てて笑ってる園田さんは、ほんと女の子って感じで。
普通に大口開けて笑ってるようなクラスの女の子や私とは大違い。
園田さんも、蒼吾が好きなんだ。
表情、見てたら分かる。
私はぼんやりと机に頬杖をついて前の席のふたりをぼんやりと眺めた。
ちょうど机6個分、友達6人分の距離。
私と蒼吾の距離みたい。
いいな、隣の席。

そう思っているクラスの女の子は少なくなくて。
クラスの半分以上の女子が、隣の席の園田さんを羨ましがってた。
水野さんなんてあからさま。
昨日なんて。
「園田さんが蒼吾くんに色目使ってる!」ってみんなに言いふらしてた。
そんなはずないじゃん。
それは水野さんの方じゃないの?って、よっぽど言ってやろうかと思ったんだけど。
その当時。
庇ってあげられるほど園田さんと仲がいいわけでもないし。
クラスメイトってだけで話したこともなかったから。
水野さんがこっそり裏でそんな事を言いふらしてる事を見て見ぬふりをしちゃったんだ。
存在感の強い彼女は、あっと言う間にクラスの女子を味方につけちゃって。
このことが。
のちのちの事件に関わることになるなんて思いもしなかった。




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