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魔法のコトバ*  Season9 初恋〜サイド蒼吾-1-


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魔法のコトバ* Season9  初恋〜サイド蒼吾-1-

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気がついたら俺は走り出してた。
いつだって俺の手の中からすり抜けていく園田。
もう。
あいつが泣くのは嫌だって思ったんだ。






だから。
止まらなかった。
あいつが困るってわかってんのに。
佐倉への気持ちだって知ってんのに。
気がついたらあいつを引き寄せて抱きしめてる自分がいた。

園田は想像していたよりもちっちゃくて。
ちゃんと食ってんのか?って心配するぐらい細くて。
抱きしめた背中が折れてしまうんじゃないかって思うほど華奢で。
なのに柔らかくって。
びっくりした。

「離して…っ」

抱きしめた腕の中で、泣きそうな声で言うんだ。
もう泣かさないって決めてたのに、俺、何やってんだ。
園田が弱ってるのにそれに付込むような真似だけはしたくねーってずっと思ってたのに。
我慢ができなかった。
大丈夫とか言いながら、陰で泣いてる園田をほっておけなかった。
俺だったら泣かせねーのにって。
今まで自分の抑えてた感情とか想いとか。
あいつを抱きしめたら全部吹っ飛んだ。
ブレーキが利かなくなってた。
かろうじて理性が崖っぷち寸前で止まってくれたのが救い。


「────まし、ろ…」
日下部の声がした。
抱きしめた園田の体がひどく強張ったのが分かった。
「…なぎ、ちゃ、ん…」
震える声。
やべぇって思った。
俺ら最近、こんなんばっかだな。
タイミング、悪すぎ。
園田も、日下部も、俺にとっても。
すげぇ痛すぎる場面。
何やってんだ俺。
これじゃあさっきの佐倉と変わんねぇじゃんか。
そう思うのに園田のこと、離せない。
離したらまた腕の中からすり抜けて、どっか行っちゃうんじゃないかって。
すっげー困ってんのに。
俺ってサイテーだ。

小さな体がもぞって動いて、制服の上着をぎゅって握りしめた。
その手で押しやられるって、覚悟してたのに。
すがるように俺の腕を掴んだ。
そのまんま、真っ青になって。
フッて意識が切れる瞬間を見た。
「────園田!!」
気がついたらその場に倒れ込む園田の小さな体を支えるのが精一杯だった。







「神経性の貧血だって」
保健室から出てきた日下部が、無愛想にこっちを見た。
園田。
ずいぶん無理してたからな。
顔色ずっと悪かったし。
寝不足なの、って。
小さく笑う園田の顔と、美術室で見た春の絵が頭をよぎった。
佐倉に対する想いをぶつけた絵。
見た瞬間、鳥肌が立った。
絵から押し寄せてくる気持ちの波。
園田にとっての佐倉の存在の大きさとか、気持ちの重さとか。
なによりあいつにとっての佐倉は、すっげぇ安心できる居場所だったんだなって。
現実を突きつけられた。
なんだこいつ、佐倉のことめちゃくちゃ好きなんじゃん。
まだ全然吹っ切れてないじゃんって、泣きそうになった。
男のくせにさ。
マジ、へこんだ。

ふと隣を見ると日下部がじっとこっちを見てた。
「…なんだよ」
すっげー何か言いたそうな顔。
「佐倉にふられた話…蒼吾、知ってたの?」
「…ああ」
ふられたっつーか、佐倉の想いに気付いたっていうか。
失恋した事にはかわりねーのかな。
「どうして…」
日下部が言葉を濁した。
唇をぎゅっと噛んで下を向く。
言葉の続きは言わなくてもわかる。
どうして言ってくれなかったのって?
言えるかよ、そんなの。
でもその理由をちゃんとわかってんだ、こいつ。

「言ったんだ、ましろに。好きだって」
「…ああ。
そっちだって。言われたんだろ?佐倉に」
ビクッと日下部の体が強張ったのがわかった。
気を張って表情を作ってた顔が、一瞬歪む。
やべ。
「悪ぃ」
「…いいよ。蒼吾の無神経さ、今に始まったことじゃないから。特にましろに関してはね。少しは私の気持ちも考えてよ。…ってむりか。直球ストレートだもんね、蒼吾」
何も言えなかった。
俺は、無意識のうちにこいつのこと傷つけてんだ。

「日下部さんに夏木君」
保健医が顔を出した。
ちょっと若い優しそうな顔。
「先生がついてるし帰りは車で送るから、もういいわよ。学祭、楽しんできて」
そう言って笑った。
気遣ったつもりなんだろうけど。
楽しめるかよ、こんな状況で。
でも、園田が目を覚ました時に俺も日下部もいないほうがいいんだ。
あいつが倒れた原因は俺と、日下部と、佐倉。
あの日から、ずっと園田の気持ちが張り詰めてる。
いつ気持ちの糸が切れるんじゃないかって、いつもハラハラしてた。
元はといえば園田の神経性の腹痛や貧血だって俺が原因だし。
俺たち、何やってんだ。
それぞれの気持ちが違う方向、向いてるなんてな。




「日下部」
保健室を出た背中を呼び止めた。
「なに?」
振り返らない。
俺が何を言うか悟ってるんだ。
「もう遠慮しねーから」
「…」
「園田にも、お前にも」
もう決めた。
あいつがあんな顔するの見んのはごめんだ。
「遠慮してくれてたんだ。それは私がましろの友達だから?」
もちろんそれもあるけど。
「…お前は俺の大事な幼なじみで、友達なんだよ」
それはずっと変わらねぇ。
昔も、今も、これからも。
でもそれは俺の都合のいい解釈なんだろうな。
「うん。知ってるよ」
やっとこっちを振り返る。
「それだけでもいいよ。ありがとう」
日下部が笑う。
感情を押し殺したように笑った顔。
俺はずっとこいつにこんな顔をさせてきたんだなって思うと、罪悪感に胸が締め付けられる気がした。
「でもましろ、まだ佐倉のこと…」
そんなの知ってるよ。
その佐倉の想いの先だってな。
「気持ちは簡単じゃねーよ、俺も、園田も、佐倉も。
お前もだろ?」
少なからずも佐倉の気持ちを知って動揺してるはずだよな。
いつもの勢いがない。

でも俺はもう日下部の事は支えてやれない。
酷なようだけど、もうずっと園田しか見えてないんだ。
でもそれは、あいつも同じなんだろうか。
泣いてあの場から逃げ出した。
それが園田の答え。



やっぱり、
気持ちは簡単じゃない。


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魔法のコトバ*  Season9 comments(6) -
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Comment








はい、本日二弾目のコメントカキコです。

おおっ!!蒼吾サイドのページイラストが、新しいイラだ〜!!しかもやっぱのっけからばりばり恋愛模様、暴風雨注意報発令中(ん、テンションは...そんなに高くないかな?(水面下は恐ろしいほど高そうだけど...))!!。ああ〜蒼吾クン、切り替えちゃったのね〜。また凪ちゃんが...ううっ(泣)。

でも、これからどうなるか見守っていきます。皆好きですからね(暴走したり、皆に失礼なカキコしてたら...見逃してくださいね(あうっ))。
from. 沙愛 | 2007/03/08 09:04 |
●○●沙愛さんへ●○●
はい、第2弾いらっしゃいませ(笑)
新イラスト更新で新章スタートです。凪サイドの扉絵の続きということで、蒼吾の視線の向こうです。ましろの視線の向こうには・・・って、もう誰がいるのかバレバレですね(笑)
4人の絵がつながるような構図で相方にイラストを依頼しています。無限ループですよね、痛い。
暴風雨注意報発令中ですか(笑)もう警報ぐらいかも。あはは。どうぞまた見守ってやってください。
暴走(!?)も楽しませてもらってますよ〜♪♪

from. りくそらた | 2007/03/08 09:41 |
こんばんはw。といううか初めましてですvv あたし恋愛小説大好きなんですけど、このブログ小説は読んだ中で一番ドキドキしますwww(いきなりそんなこと言っちゃダメだよ;さくら;;) あ、ちなみにあたしブログランキングのほうからクリックしてここに来ましたww
蒼吾かっこいいですねww惚れ惚れしますvvvv
学校にそんなかっこいい人いないからな〜・・・ましろがうらやましくなってきますw

不審者っぽい行動してますけど、どうか気にしないでください;;ではではw
from. さくら | 2007/03/08 19:06 |
いつも、ブログ楽しんで見てます。
凪ちゃんかわいそう。でも、やっぱり蒼吾はかっこいいです。
ましろちゃん一筋で見ていてほんと楽しいです。
早く4人が幸せになってくれたらいいな。
from. あきら | 2007/03/09 00:16 |
●○●さくらさんへ●○●
はじめまして!いらっしゃいませ。
ブログランキングの方からいらしていただいたのですね。ありがとうございます!
蒼吾、かっこいいですか。でも今どきの男の子っぽくないいですよね?(笑)こういう真っ直ぐな男の子もいいかなと思って私の理想を詰め込んで書いています。
ましろが羨ましいですか(笑)一途に想ってくれる人がいるのはいいですよね。理想だ〜〜。
また大いにドキドキしにきてくださいね!
from. りくそらた | 2007/03/09 09:12 |
●○●あきらさんへ●○●
おお!お久しぶりでございます。いらっしゃいませ♪
凪ちゃんかわいそう・・・と、昨日、イラストを描いてもらっている相方にも同じ事を言われました(苦笑)凪サイドの話の続きでどうしても凪視点で見てしまうみたいですね。私も書いていてついつい凪視点で見てしまいます。
蒼吾、かっこいいですか!えへへ。嬉しいな。
蒼吾サイドのお話はましろへの一途っぷりと、今まで見えてこなかった佐倉とのやり取りも出てきます(たぶん・・・)。
また違った視点で楽しんでいただけると嬉しいです♪
私も早く幸せな4人が書きたいです〜(笑)
from. りくそらた | 2007/03/09 09:26 |
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