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魔法のコトバ*  Season9 初恋〜サイド蒼吾-5-
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魔法のコトバ* Season9  初恋〜サイド蒼吾-5-

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「はぁ…」
せっかく園田が帰ってきたのに、ちっとも進歩がねぇ。
あの頃と全然変わらないし、それよりかもっと悪くなってる?
俺が近づくとあいつ、いつも泣きそうになるんだ。
また笑ってくれない。
ぼんやりため息をついてると。
ボスッって。
頭に固いものが飛んできた。
「なにボーっとしてんだよ」
それが地面に落ちて砂埃が舞い上がる。
「投球練習、付き合ってくれよ」
よく知った顔が笑った。

守口涼助(もりぐち りょうすけ)、通称涼。
俺の部活仲間。
涼とは高校に入ってから友達になったやつだけど、お互い小学校時代から野球をやっていた仲間として昔からの顔なじみ。
中学では結構名のあるピッチャーとして有名だった。
キャッチャーポジションの俺とバッテリーを組んでる相棒。
まだお互いに高校ではマウンドデビューしてないけどな。


「なんだ、涼か」
「なんだとはなんだ。失礼なやつだな、お前」
涼は持ってきたキャッチャーミットとマスクをベンチに置いた。
「どした?悪いもんでも食ったか?」
ニヤニヤしながら覗き込む顔。
「腹でも壊した?」
「お前の方がよっぽど失礼だろ?」
お気楽に見える俺だって、たまには悩む事があるんだよ。
「蒼吾らしくないなぁ。好きな女でもできた?」
「……」
思わずコトバに詰まった。
「え、マジで!?
マジで?マジで??マジで???」
うっさい。
「野球と寝る事と食うことしか興味のなかったお前が!?」
大丈夫か、って。
マジで心配そうに額に手を当てる。
ほっとけっつーの。
「何でも相談してくれよ〜。俺、お前の恋女房じゃ〜ん」
ボスッってキャッチャーマスクを俺の胸に突きつけて、嬉しそうににやつきながら、顔を寄せてくる。
すっげぇ気持ち悪いからやめてくれ。
「とりあえず肩慣らしにキャッボールでもしながら聞いてやるよ」
涼がおもしろそうに笑った。
ていか話すつもりはなかったんだけど。
ま、いっか。





「園田ましろ、って、お前のクラスの転入生?」
ボールが放物線を描いて空に飛ぶ。
それが吸い込まれるようにミットに納まった。
「ぽや〜ってした感じの女だよな。癒し系つーか?ああいうのタイプ?」
タイプっつーか。
惚れた女がタイプみたいな?
でもそれって聞きようによっちゃ、やばいセリフだよな。
誰でもいいみたいな感じに取れなくもない。
「もしかして、転入早々一目惚れってやつ?」
「小学校時代の友達だよ、あいつ」
「へぇ〜。初耳」
「幼なじみみたいな感じ」
仲良くはねぇけどな。
「ふ〜ん。まぁ、かわいいっていえばかわいいんだけど、でもフツーじゃん?」
そこがいいんじゃん。
すれてないっつーか。
クラスの女みたいに軽くないっつーか。
普通なのがいい。

「さて、と。肩も温まったし、そろそろ投げ込んでい?」
「ああ、どーぞ」
後頭部に掛けてあったマスクをかぶって腰を落とす。
ミットを真っ直ぐ腹の前に構える。
「俺だったらさ」
「ん?」
「同じ幼なじみならあっちの方がいいけど?」
「あっち?」
「お前の世話焼き女房!」
めいいっぱい振りかぶった体から放たれたボールが、吸い込まれるようにキャッチャーミットに納まった。
パーンッて気持ちのいい音がグラウンドに響く。
相変わらずいい球投げるな、こいつ。
「めちゃくちゃ可愛いじゃん、日下部。俺、あんな可愛いやつ初めて見たよ」
そう言ってにやつく顔にボールを返す。
すっかり肩が温まって本調子になった涼が、今度はマジでボールを投げ込んだ。
受け止めた腕がジーンとしびれる。

そっか。
涼のやつ、日下部の事好きなんだったな。
入部して早々。
涼が初めて俺に声を掛けた時の言葉。

「な、お前ってあの美人の友達?」

だもんな。
マジでずっこけそうになった。




ひと通り投球練習を終えて汗を拭きにベンチへ戻る。
「とりあえず10分、休憩な」
っていう先輩の声に、部員が散ばる。
水道に頭を突っ込んで蛇口をめいいっぱいひねる。
頭から水をぶっ掛けるのが一番暑さが引く。
「な、見てみ」
先にひと浴びした涼が肘で小突いた。
ふと視線を上げると陸上部がちょうど短距離のタイムを測るところで、日下部がスタートラインに立とうとしていた。
日焼け防止に羽織っていたパーカーを脱いで、すらりとした手足を惜しげもなく出す。
綺麗な顔立ちとスレンダーな手足が人目を惹く。

「あの長い手足とか、さらさらの髪とか黒目がちな目とか。すっげぇ可愛いじゃん。あんなに近くにいんのに、こうムラッと来た事ねぇの?」
ねぇよ。
確かに美人顔だとは思うけど。
あまりに昔からの付き合いすぎて、アイツは恋愛対象外。
「あの華奢な体を抱きしめたい〜とか、あの形のいい唇にキスしてぇ〜!!とか思わねぇの、蒼吾?」
もうしたよ、ていうかされた。
不意打ちで。
あんま思い出したくねぇ記憶。
キスされたのが嫌とかそういう以前の問題。
アイツの、あの表情を思い出す。




パーンって。
ピストルの音が鳴り響いて地面を蹴って走り出す姿。
背筋をピンと張って、真っ直ぐゴールだけを見つめて走る横顔がマジ綺麗だって思った。
もちろん、恋愛感情抜きで。
「もったいねぇの。俺にゆずってよ」
そう言って笑う涼の横顔。
口調はちゃらけてるけど、日下部を見つめる表情はすっげぇ真剣だった。
こいつならきっと、日下部の事を大事にするんだろうな。
泣かせたりなんかしない。
でもあいつ。
たぶんまだ、俺のこと好きだ。
うぬぼれかもしれねぇけど、ひしひしと感じるんだ。
そういうの。



あいつは俺の幼なじみで。
大事な友達で。
でもそう思ってるのは俺だけで。
俺が友達宣言をしたおかげで、あいつは今でも苦しんでるのかもしれない。
どこかでけじめ、つけなきゃなんねぇのかもな。




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魔法のコトバ*  Season9 comments(2) -
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Comment








りくさん、はづきさん、初めまして!!
私は高校一年生の女子です♪

お話全部読みました(*´艸`)
とっても素敵なお話でドキドキしてしまいました(*゜∀゜*)

私には実はお恥ずかしながら同い年の彼氏がいるんです。
今は髪を切ってしまったので似てないのですが、前は少しだけ蒼吾に似ていたんです(yωy*)

『魔法のコトバ』を読んでいたら付き合う前の気持ちを思い出すことが出来ました!!
本当にありがとうございます♪

これからも影ながら応援しています(*^_^*)
頑張ってください☆

p.s 実は私の名前も『はづき』って言うんですよ(*´▽`)ノ
from. 月奈 | 2007/03/13 21:50 |
●○●月奈さんへ●○●
はじめまして。いらっしゃいませ!
長い話を全部読んでいただいたそうで・・・。時間がかかって大変だったでしょう?お疲れ様でした(笑)
蒼吾似の彼氏ですか!それはぜひ見てみたい!想像が膨らみます(笑)
この話で付き合う前の気持ちを思い出しちゃいましたか〜。嬉しいなぁ。月奈さんはまさにこのお話の世代ですね。微笑ましいです。またぜひに読みにいらしてくださいね!

PS.はづきと同じ名前なんですね〜!オシャレな名前で羨ましい。私もはづきも本名は普通の名前です(笑)
from. りくそらた | 2007/03/14 08:29 |
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