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魔法のコトバ*  Season9 初恋〜サイド蒼吾-7-
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魔法のコトバ* Season9  初恋〜サイド蒼吾-7-

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「腹減ったな〜」
自転車置き場までの道を歩きながら、隣にいた涼がボソっと呟いた。
明日の練習試合に備えて早めに部活を終えた帰り道。
見上げた空はまだ明るい。
各自、試合に備えてコンディションを整えておく事。
それが明日までの課題。
「なぁ。マックでも寄ってかねぇ?」
自転車に鞄を突っ込みながらながら涼が振り返った。
「いいな、それ」
どうせ帰ったら夕飯は出来てるんだろうけど、育ち盛りの俺らにはそんなもんじゃ足りない。
部活の後はいつも腹が減る。
食う事を考えたら腹の虫がぐぅっと鳴いた。

「おい!1年生バッテリー」
聞き覚えのある声に振り返ると、野球部のキャプテンが腕を組んで俺たちを見てた。
自然に背筋が伸びてシャキッとする。
「お前ら何の為に早く切り上げたんかわかってんのか?明日はお前らの起用もあるかもしれねぇんだから、さっさと帰って調整しとけよ!寄り道なんかすんな」
「はい!お疲れ様っした!」
歯切れのいい返事をして、体を折り曲げる。
挨拶の時の角度は45度。
先輩を敬う態度は入部当初から嫌というほど体に叩き込まれてる。
運動部の性だな。
体を折り曲げたまま先輩集団を見送って、校門の向こうに自転車が消えたことを確認すると。
「行くか!マック」
涼が笑った。




「いいよな〜、ああいうの」
自転車を引っ張り出しながら、涼がボソッと呟いた。
「そっか?」
視線の先の待ち合わせカップル。
彼女の肩を抱くように、ふたりで身を寄せて夕暮れの街へ消えていく。
「別に俺は羨ましくもなんともねぇけど」
これ見よがしみたいな感じで、スマートじゃない。
ま、そういう経験がないから何ともいえないんだけど。
相手が園田だったら違うのかな。
さっきのカップルの男みたいに鼻の下伸ばして嬉しそうに腕なんか組んだりしちゃうのか?
俺と園田じゃ想像がつかない。

頭の中で絶対にありえないシチュエーションを思い描きながら、悶々とした気持ちで自転車にまたがる。
ペダルを漕ぎ出そうと顔を上げた視界の片隅。
見覚えのある姿が飛び込んだ。
漕ぎ出そうとした体が硬直した。
視線は校門前に釘付け。
ふわふわとした長い髪を押さえながら校門にもたれる小さな体。

園田じゃん。

何であんなところにいるんだ?
誰か、待ってんのか?
日下部…じゃなさそうだし。
あいつ部活があるから、帰りは園田と一緒じゃないって言ってたし。


「蒼吾ー?」
随分前に行ってしまった涼が自転車を止めて振り返った。
「どした?」
俺の視線に気付いて、涼が校門を振り返る。
「あれ…、園田ましろ?」
「…ん」
間違えない。
「誰かを待ってる風だよな?お前、やばいんじゃないの〜?」
ニヤニヤと嬉しそうに自転車に乗ったままバックしてくる。
器用なやつ。
ニヤニヤした顔が俺を覗き込んだ。
「どうすんの?」
どうするって言われても。
「チャンスじゃん?行けよ」
「はあ?」
「誘っちゃえよ。もう遅いから送るよ?とか言えば自然じゃん」
すっげぇ嬉しそうに笑う顔。
絶対おもしろがってる。
「早く行けよ。園田ちゃん、帰っちゃうぞ?」
いいのか?って、俺の背中を押し出す。
「らしくねぇな〜。いつもの勢いはどした!?」
「うっさい」
あいつ相手だと、そんなに簡単じゃねぇんだよ。
すっげぇ勇気と覚悟がいる。

でも。
涼じゃないけど、マジでチャンスだって思った。
マウンドデビューの可能性を目前にして、気持ちもでかくなってるし。
今ならなんでも出来るような気がする。

「後で行くから、先行けよ」
シッシッと涼を追い払う。
涼がいたら余計に話がややこしくなりそうだ。
「行くか?」
「行くよ」
「マジで?」
「マジ」
「…お前のそういうの初めて見た。
本気なんだな、園田ちゃんのこと」
最初っからそうだよ。
あいつとのことは全部。
「ま、ガンバレや。今日はマック、中止な。心置きなく行ってこい!」
涼は爽やかに笑うと、ガッツポーズをしながら自転車で走り去った。
園田の前を通る時に振り返ってチェックすることは忘れず。
しっかりしてんのな。
こっちはそんなに余裕がないってんのに。







涼を見送った後、大きく息を吐いて深呼吸する。
情けないけど、園田に声を掛ける時はものすごく緊張する。
マウンドに立つときよりも全然。
呼吸を整えて、自分に気合を入れてゆっくり自転車を走らせる。
園田の前まで自転車を走らせて、ブレーキを掛ける。
キィってブレーキ音がやけに耳につく。
心臓が、バクバク音を立てる。

「園田…ちょっといいか?」


俺の声に園田がゆっくりと顔を上げた。
丸っこい目がこっちを見た。
その目が俺を認識して、一瞬でフリーズした。

「時間、あるか?」

それでもめげないで声を掛ける。
こんなチャンス、棒に振れるかよ。
何もしなければ、俺と園田の関係は今のままだ。
自分から変えていかなくちゃ、何もかわらねぇんだよ。
園田が転校して、ただ後悔する事しかできなかったあの頃。
何もしないまま後悔するのだけは、もう二度とごめんだ。
同じ後悔だったら、やることやってからの方がよっぽどいい。


ぶんぶんぶんって。
激しいくらいに首を横に振って、園田が俺を拒絶する。
表情がめちゃくちゃ強張ってる。
「…オレとあんまり話したくないのは、知ってるから、さ。
ちょっとだけ、いいか?」
自転車を降りて一歩、近寄った。
鞄をぎゅっと握りしめる小さな手に触れようとしたら、体がビクリと強張ったのが見えた。
伸ばしかけた手が。気持ちが。
躊躇した。


「────ごめん、ましろちゃん」

聞き覚えのある声がした。
男の声。

ましろちゃん?

男のくせに少しトーンが高くて、耳障りな声。
少なくとも俺にはそんな風に聞こえる。
すごーく嫌な感じがして、振り返る。
「かなり待ったよね?」
って。
そう言った顔が俺を認識して、目を見開いた。

「蒼吾?」


な…んだよ、それ。
園田、こいつの事待ってたのかよ?





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Comment








お久しぶりです!!先輩達の卒業式の準備とかで随分ココに来れませんでした;;すいません・・・ 
話だいぶ進みましたねww相変わらずドキドキしています☆ 蒼吾、いろんな困難に出会いますね〜www頑張れ!蒼吾!!もちろんりくさんも頑張ってくださいvvvvv
青春サイコ〜!!!
from. さくら | 2007/03/15 12:49 |
●○●さくらさんへ●○●
そういえば卒業式シーズンですね。若かりし頃をいろいろと思い出します。さくらさんもお疲れ様でした。
蒼吾、浮上したり沈んだりといろいろ悶々としているようです。これからしばらくそれが続きます(笑)またドキドキしに来てくださいね♪
青春サイコー〜!!!(笑)
from. りくそらた | 2007/03/15 16:59 |
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