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魔法のコトバ*  Season9 初恋〜サイド蒼吾-9-
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魔法のコトバ* Season9  初恋〜サイド蒼吾-9-

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悶々とする思いを抱えながら玄関のドアを開けると、いやに家の中が賑やかだった。
「ただいまー」
スニーカーを脱ぎ捨てて、仏頂面でリビングの扉を開ける。
汗が引くようなひんやりしたエアコンの風に乗って、うまそうな匂いがした。
それに刺激されて、忘れていた腹の虫がぐうと音を立てた。

「あ、おかえり〜」
食卓を囲んで笑っていた顔が一斉にこっちを向いた。
頭数は4人。
姉貴ふたりと妹。
久しぶりに姉妹全員揃った光景はいつみても強烈。
家の中が女臭い気がする。

「うっわ、蒼吾。汗臭い〜〜」
あからさまに顔をしかめる化粧の濃い顔。
2番目の姉貴、葵(あおい)。
チアリーダーをやってる現役バリバリの大学生。
フルメイクの派手派手しい顔がこっちを睨んだ。
ていうかそっちの方がよっぽど化粧臭いじゃん。
ムッとした顔で睨みつけると。
「なになに〜?反抗期〜〜!?」
面白そうな顔でけらけら笑う。
すっげぇムカつくんですけど。
「もう、やめなさいって」
呆れた顔で葵の頭を軽く叩くと。
「今日は早かったのね」
落ち着いた表情で笑う一番上の姉貴、海月(みつき)。
笑った顔が父親そっくり。
看護婦で病院を飛び回ってる多忙な母に代わって、夏木家の母親をしてる長女。
優しそうに見えて、実は怒るとすっげぇ怖い。
家の中を切り盛りしながら、昼間は子ども相手に空手を教える格闘家。
小さい頃から鍛え抜かれた技は、最近ますます磨きがかかってる。
たぶん、姉貴とやり合ったら俺が負ける。
昔、散々泣かされた。

「明日試合があるんだよ。だから早めに切り上げて、調整」
鞄から取り出した空の弁当箱を突きつける。
「今日のお弁当、どうだった?」
「最悪」
「えー?2時間も掛けた力作だったのに」
「俺にキャラ弁はやめれ」
マジで。
昼休み、俺がどんだけ惨めな思いをしながら隠れて食ってるかわかってんのか?
ていうか、それを想像しながら作ってるだろ?絶対。
姉貴はそういうやつ。

「え〜!お弁当、美味しかったよ!!遠足の時、みんながすごいねって言ってくれてたもん!」
頬を膨らませて食卓からこっちを振り返った幼い顔。
下の妹、深青(みお)。
桜塚小学校6年生。
頭の天辺に近い位置で結われた二つの長い髪が揺れる。
それ。
そんなに高い位置でくくる必要あんのか?ってなぐらい。
今流行りのアーケードゲーム、なんとか&ベリーにはまってて、オシャレに余念がない今どきな小学生。
おませで気が強いくせにすぐ泣く。
昔は扱い方がわからなくてよく泣かせた。

「ガキの弁当と一緒にすんな」
「なにそれ!ひっど〜!!」
深青が頬を膨らます。
「蒼兄、ムカつく!
ていうか、それ!私のから揚げ!!」
深青の皿からから揚げをひとつ拝借して、口にほりこむ。
「ごちそうさん」
「もうっ!最後に食べようと思って残してたのにーっ!!」
真っ赤になって頬を膨らます。
「1個ぐらい別にいいだろ」
「よくないもんっ」
深青が顔を真っ赤にして、立ち上がる。
「ふたりともやめなさいって!蒼吾、お兄ちゃんのくせに大人気ない。
千尋ちゃんの前で恥ずかしいでしょ?」
姉貴が声を荒げる。
思わず、うっと言葉を詰まらせる。
忠告のうちに終わらせておかないと、後で姉貴の鉄拳が飛ぶ。
明日試合だってゆーのに、青あざ作るのはごめんだ。
深青もやばいと思ったらしく、大きなため息をつきながら食卓の方へ座りなおした。
うちの場合、姉貴が法則。
間違った事を言ってると、男女年齢を問わずやられる。
あの鉄拳で。
想像しただけでも身震いする。


「深青ちゃんのお兄さんっておもしろいね」
隣に座っていた幼い顔が笑った。
ちょっと茶色がかった髪を肩のところで切りそろえ、色白の頬をほんのりピンク色に染めて笑う横顔。
ふと、それが俺の視線に気付いてこっちを見た。
「あ…おじゃましてます」
遠慮がちに頭を下げる。
「らっしゃい」
つられて頭を下げると嬉しそうに笑った。
うわ。
やっぱあいつとそっくりじゃん。
笑った顔とか、綺麗な横顔とか。
やっぱ兄妹って似るんだな。
そんな事を考えながら、ぼんやりとその横顔を見つめる。

深青の友達、佐倉千尋(さくら ちひろ)。
俺の天敵、佐倉の妹。







「夕飯、先に食べる?」
「後でいいや。汗かいたし、風呂入ってからにするわ」
荷物をリビングのソファにほり投げて、履いていた靴下を脱ぐ。
「それ、脱衣場でやってよね。汚い」
夕飯を済ませてソファに腰かけてた2番目の姉貴、葵が嫌そうに顔をしかめた。
「別にいいだろ」
「こっちは食事中」
「食べ終わったんだろ?」
「まだ深青達が食べてるでしょ」
いちいち突っかかる。
葵とは昔から口喧嘩が絶えない。
「わーったよ」
別にリビングで靴下を脱ぐぐらいいいだろ。
チッと舌打ちをしてブツクサと文句をいいながら風呂場に行こうとした俺を、姉貴が呼び止めた。
「蒼吾」
「なん?」
「後で千尋ちゃん、送っていってあげてくれる?おうちには連絡してるけど、明日も学校あるしあまり遅くならない方がいいでしょ」
マジで?
あいつと顔、合わせなきゃなんないじゃん。
1日に2度も見たくねぇ。
「葵が送って行けばいいだろ?暇そうじゃん」
ソファに座ってる葵にチラリと視線をやる。
コンパクトミラーでメイクチェックをしていた顔がこっちをぎろりと睨みつけた。
「送ってあげたいのは山々なんだけど、私、これからコンパ。
だから無理」
そう言ってパタンと鏡を閉じた。
だからそんなにメイクが濃いのかよ。
それじゃあ男が引くだろ。
「てゆーか、蒼吾!葵じゃなくてお姉ちゃんでしょ!年下のくせに呼び捨てにしないで」
「別にいいだろ」
「よくない!」
ぷうっと頬を膨らますと、立ち上がってまだ食べている深青と千尋のところまで行って体を折り曲げて覗き込んだ。
「ごめんね千尋ちゃん。
お姉ちゃん、送って行ってあげたかったんだけど、ちょっとご用事があるの。こっちのお兄ちゃんじゃ不満かもしれないけど、とりあえず役には立つから」
そう言って馬鹿にしたようにこっちを見た。
マジでムカつくやつ。
「また遊びにおいでね。何だったらお兄ちゃんも連れてきていいから」

はぁ?

「私も千尋ちゃんのお兄ちゃんに会いたかったな〜。コンパがなかったら送っていってあげたのに〜〜」
語尾にハートマークが5つぐらい付きそうな口調で、葵が夢見がちな目で天井を見上げた。
「はいはい。もういいから、葵はさっさと行きなさい。あんまり遅くならないようにね」
「はーい。じゃあね、千尋ちゃん。
蒼吾、後はよろしく〜」
ニヤニヤと嬉しそうに手を振りながら、リビングの向こうへ消えていく。
すっげぇ騒がしいやつ。
我が姉貴ながらうんざりする。
大きなため息をつくと、目が合った幼い顔が困ったように笑った。
やっぱ佐倉とそっくりじゃん。


千尋の事は嫌いじゃないけど。
あいつと同じ顔で笑われると正直、困る。
園田の隣で涼しそうに笑うあいつを思い出して。
イライラする。




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魔法のコトバ*  Season9 comments(3) -
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Comment








はい、こんにちは。沙愛で〜す。...と、今回もフンフン♪〜などと気楽に読んでいたんですが...

...りくさん、この展開は予想外です。

最後まで読んで、2回パソの前で"うげっ"などと奇声を発するわ、マウス持ったままフリーズするわ...(苦笑)。まさかそういう絡みで展開するとは...。でも読み終わって少し納得。
あの四人姉弟妹("きょうだい"と読んでね)だから蒼吾クンはあんな感じ(猪突猛進、"俺は男だ!!"みたいな...(またまたごめん、暴走気味です))なのかしら...と思ってしまったし、佐倉くんのこと苦手なのも姉妹のせいのもあるのね〜などとふむふむと考えてしまった今回。なんか、恋愛模様も気になるんですけどこちらの御家事情も気になりだしてしまった...あはは、蒼吾クンと佐倉君のお家絡みの二人の会話がとても楽しみ...(にやっ)。りくさん、この展開、大正解です(大爆笑)。
from. 沙愛 | 2007/03/17 13:13 |
佐倉くんに妹さんいらっしゃったのですねwww(お嬢気分vv) 佐倉くんの妹、想像してみるとめちゃくちゃかわいいかもvvvvvv でも本当兄妹、そっくりな人多いですよね。
H.K.あたしも化粧が濃い人正直苦手なほうです;;;なんかぶりっこを感じちゃって;;; だから化粧も香水もやったことがありません。(・・・っていうか中学生がそんなことしていたら不良ですよねw・・・)
H.K.沙愛さんと同じ意見なんですけど、これからが主要動(?)みたいでワクワクドキドキしていますwwww
これからどうなっていくんでしょうか!!さぁT○チャンピオン青春選手権スタートです!!!!!
P.S.ブログランキング1位おめでとうございます!!私も毎回ぽちぽちっと押させていただいてますwww
from. さくら | 2007/03/17 17:21 |
●○●沙愛さんへ●○●
予想外でしたか(笑)私もです(苦笑)
蒼吾の設定の中に『女ばかりのきょうだいの中で育った真ん中、長男坊』っていうのはありましたが、実は夏木姉妹を表立って出すつもりはありませんでした(笑)
蒼吾の性格は姉妹の所為ですね。賑やかな家庭(女ばかりに囲まれて)育ったから、ましろみたいなタイプに惹かれるのかも。またそれは後々に・・・。にやり(笑)

●○●さくらさんへ●○●
いたんですよ、佐倉妹(笑)夏木姉妹は今後、あまり話に絡んできませんが(たぶん)、佐倉の妹は佐倉サイドの話で触れていくことになると思います。またお楽しみに♪
化粧の濃い人が苦手ですか?さくらさんはまだまだ若いですもの!ナチュラルな素肌が一番ですよ。ある年齢を過ぎると、メイクなしでは駄目な時期がきますから・・・(笑)そんな世代が羨ましいです。
ランキングの応援、ありがとうございます!!1位って響き、嬉しいですね。えへへ。
上位の方はどの人も実力派ばかりの方々なので、ほんの一時だとは思いますが幸せを噛み締めています。ありがとうございました!!
from. りくそらた | 2007/03/17 21:36 |
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