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魔法のコトバ*  Season9 初恋〜サイド蒼吾-8-
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魔法のコトバ* Season9  初恋〜サイド蒼吾-8-

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汗やグラウンドの土で薄汚れた俺と違って、汗ひとつかかないような爽やかな顔で俺と園田を見比べる綺麗な顔。
優しそうに微笑む顔が、あの頃とちっとも変わってねぇ。

佐倉隼人。
すっげぇ久しぶりに見た気がする。
小中高と同じ学校だったくせに。
「どうしたの?こんなところで…」
それはこっちのセリフだよ。
何でお前が園田と待ち合わせしてんだよ。
訳、わかんねぇ。
「何?ましろちゃんに用がある?」
何でそれをお前が聞くんだよ?
彼氏気取りか?
すっげぇイライラする。

「佐倉と待ち合わせしてたのか?」
佐倉の言葉は無視して園田に問いかけた。
俺が話したいのはお前じゃない。
「ましろちゃん、美術部に入ったんだ」
園田が口を開く前に、佐倉がとんでもない事を口にした。

「園田が…美術部?」


なんで?
園田、絵なんてやってたのか?
確かに。
小学校の時、園田の絵はうまかった。
横に並べられた俺の絵が貧相に見えるくらい。
当時から絵をやっていた佐倉と比べても負けず劣らず。
絵心はあったんじゃないかと思う。
でも、部活でやるほど興味あったのか?
佐倉が美術部だから入ったとしか思えねぇ。
小学校時代から仲よかったし。
やっぱり園田、佐倉のこと…。

頭の隅をよぎった言葉を飲み込んで。
俺は軽く頭を振った。

「佐倉。ちょっとこいつ、借りていいか?」

とにかく、園田と話がしたい。
ふたりで。
園田に聞いたら首を横に振るのは分かってたから、あえて佐倉に聞いた。
佐倉がいいっていえば、断れないだろ?


「俺はいいけど…」
言いかけて、チラリと隣を見た。
園田は俯いたまま。
「いや、やっぱりダメだ」

は?

口がぽかんって開いて、頬の筋肉がピクリと動いた。
まさか佐倉からそんな答えが返ってくるなんて思わなくて、すっげぇ驚いた。
予想してなかった答え。

「明日どうしても必要な画材があってさ、今日のうちに買っておかないと駄目なんだよ。ね、ましろちゃん?」
問いかけられて一瞬きょとんとした顔が、これでもかってなぐらい何度も頷いた。
なんだよ、その理由。
嘘だっていうのが丸分かり。
俺を気遣ってフォローしてくれてるのかもしんねぇけど、すっげぇ勘に触る。
園田が嫌がってるから駄目だって、はっきり言ってくれたほうがよっぽどマシだ。
園田を気遣う佐倉がすっげぇ紳士に見えて、何か自分が悪い事してるような罪悪感に駆られる。
すっげぇ惨めな気分にさせられた。
こいつはいつもそうだ。
俺をどん底まで陥れる。




「そういう事だから、また今度にしてくれる?」
そう言うと佐倉は。
「行こうか、ましろちゃん」
園田の背中をそっと押して、その場から連れ出した。
俺が触れたくても触れられない園田に、いとも簡単に触れる。
正直ぶん殴ってやりたいって思った。
別に佐倉は悪くはないんだけど。

でも。
いつもこいつは園田の隣にいて、俺が出来ないことをさらりとやってのける。
あの時からずっと。
俺が焦がれる園田の隣ってポジションに、こいつは何食わぬ表情で飄々と居座ってんだ。
すっげぇ腹が立つ。


気まずそうに俯きながら、佐倉の隣を歩くふわふわの頭。
それは決して振り返る事も、その目に俺を写すこともなく俯いたまま。
そんな園田にこれ以上、掛ける言葉が見当たらなくて。
俺は無言で自転車にまたがってその場から立ち去った。
肩を並べて歩く、ふたりを視界に入れないようにして。




この頃から。
園田にとっての佐倉は、すっげぇ特別な存在で。
もうすでに俺には入り込む余地がなかったのかもしれない。
小学生の頃から変わらない。
園田と佐倉の関係。



それでも俺は。
どうしても園田のことをあきらめきれなかった。







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