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魔法のコトバ*  Season9 初恋〜サイド蒼吾-11-
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魔法のコトバ* Season9  初恋〜サイド蒼吾-11-

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家から20分ほど自転車を走らせた駅前。
マンションの最上階。
『佐倉』って表札の付いた玄関のインターホンを鳴らす。
ポーンって軽快な音がした後、しばらくして小さくドアが開いた。
「はい」
家の中から流れてくるエアコンのひんやりした風のように、爽やかで凛とした顔が俺の横の小さな妹を見つけて。
「おかえり」
って笑った。
「ただいま」
同じ顔が見上げる。
「悪いね、蒼吾。言ってくれたら迎えに行ったのに」
優しそうに微笑む顔が今度はこっちに向けられる。
「別にいいよ」
仏頂面で呟く。
「せっかくだから上がってく?」
「いや、いい」
上がって何するんだよ?
家に上げてもらうほど仲がいいわけじゃないし、話題もない。
聞きたいことは山のようにあるんだけどな。
「そう?それじゃあ、またな」
って。
爽やかな笑顔で扉を閉める佐倉を思わず呼び止めた。
扉を閉めかけた手が止まる。
「…アイツと、画材買いに行ったのか?」
「アイツって?」
「園田」
「ああ、ましろちゃん?」
今日、久しぶりに聞いたよ。
お前の『ましろちゃん』って呼び方。
佐倉が園田のことを名前で呼ぶたびに、俺はすっげぇイライラする。

「行ったよ?」
平然と微笑む顔。
嘘つけ。
お前と園田を駅前のミスドで見かけたっていう目撃情報があるんだよ。
ご丁寧に写メ付きで。
向かいのマックに立ち寄った涼からの情報だから確か。
『お前、何やってんだよ!?』っていう、追い討ちをかけるようなメッセージ付きで。
まじへこむ。
「悪かったね。ましろちゃん連れ出しちゃって」
悪かったなんて思ってないくせに。
ふてぶてしいまでの俺の仏頂面を眺めて、佐倉がクスリと笑った。
「…なんだよ」
「いや、別に」
佐倉の隣にいた千尋が、おどおどした顔つきでこっちを見上げた。
兄貴のパーカーの裾を掴んで、今にも泣き出しそうな顔。
その表情。
俺が悪い事してるみたいな気持ちになる。
なんかすっげぇ園田と被る。

「千尋。先に上がってていいよ」
俺の視線に気付いて、佐倉が声を掛けた。
「明日も学校だろ?宿題は?」
「深青ちゃんちでやった…」
「じゃあ、明日の準備やっておいで」
「…うん…」
後ろ髪をひかれるような表情で、こっちを気にしながら部屋に戻る。
それを確認すると。
「それで?」
佐倉が俺に向き直った。
玄関のドアを半開きにさせて、それにもたれながら。
「何か俺に言いたい事があるんじゃないの?」
そういう顔してる、って。
余裕たっぷりの笑顔でこっちを見返す。
すげぇむかつく。
言いたいことはたくさんあったけど。
こいつに言うのは何か釈然としない。
汗ばんだ頭をガッと掻き揚げる。
風呂に入ったばかりだってのに、べたべたする。
佐倉は涼しげな顔してんのに。
なんか俺と佐倉の置かれてる立場の違いを見せ付けられてるみたいで、イラつく。
余裕のない俺と、自信たっぷりの佐倉。


「ましろちゃん、こっちに帰って来てたんだね」
佐倉が口を開いた。
「…ああ」
「4年ぶり?天然っぽいところは相変わらずだけど、可愛くなってたよね」
あいつは昔から可愛いよ。
園田以外の女が可愛く見えないぐらいに。
「あいつ、美術部入ったのか?」
「そうだよ。俺が誘ったんだ」

は?なんで。

「もともと絵に興味があったらしくて、見学に来ててさ。父親が絵の仕事してただろ?」
それでか。
あいつの絵は確かにうまかった。
父親ゆずりの才能か。
ていうか佐倉は、そんな事まで知ってんだ。
ふたりの距離の近さを思い知らされる。

「…アイツと、付き合ってんの?」

「まさか」
佐倉が笑う。
「安心しなよ。
俺、別にましろちゃんの事好きじゃないから」
普通に挨拶を交わすみたいに、さらりと言ってのけた。

なんだよ、それ。

園田のことは好きじゃないけど、向こうが俺の事好きだったらごめんな。
でも、好きじゃないから付き合わないし安心して。
みたいに聞こえる。
俺に同情してんの?
好きじゃないならあの態度は何なんだよ?
傍目から見ても、園田を特別扱いしてんのわかるよ。
すっげぇむかつく。
園田に対して余裕たっぷりの佐倉が。
何考えてんのかさっぱりわかんねぇ。

「蒼吾?」

「だよな。お前が好きなの、日下部だもんな」

千尋の言葉。
あれが確かなら、お前は日下部の事が好きなんだろ?





確かに手ごたえがあった。
いつものポーカーフェイスが、一瞬、顔を曇らせた。
図星、だ。
千尋の言葉は半信半疑だったけど、確信した。
こいつ。
日下部が好きなんだ。


じゃあなんで、園田に構うんだよ。
特別な存在のように扱って、あいつだけ名前で呼ぶ。
お前が好きなのは日下部なんだろ?
相手、違うじゃん。
その気がないのに、思わせぶりな態度取んな。

「言っとくけど…。アイツ泣かせたら俺、許さねぇから」
たぶん、殴る。
「アイツってどっち?ましろちゃん?それとも、日下部?」
「どっちもだよ」
もちろん園田の事だけど。
日下部だって泣かせたらたたじゃおかねぇよ。
「…ふーん」
「何だよ?」
「別に」
「言いかけてやめんな」
何考えてんのかわからねぇからイライラする。
「相変わらずだな、そういうところ」
「なに?」
「恋愛も友情も、全部背負い込もうとするところ。いつも自信たっぷりでさ。周り、見えてるの?」
「は?何の事だよ?」
「そっちこそ、はっきりしたらどうなんだよ?全部、中途半端なままだろ?」
「だから!何の事だよ?」
「少しは自分の頭で考えろよ」

は?
意味わかんねぇ。

「お兄ちゃん?」
部屋の奥から千尋の声がした。
不安そうな声。
「今行く」
振り返った顔が兄貴の顔つきになる。
「そういうことだから。じゃあな」
最後まで爽やかに笑いながら、玄関のドアが閉められた。
そういうことって、どういうことだよ。
お前の方が中途半端じゃん。
わけわかんねぇ。
やっぱり無理やりにでも葵に送らせればよかったんだ。


俺は。
悶々とする気持ちを抱えながら。
アホみたいに月明りが照らす夜道を自転車で全力で疾走した。
そうでもして体を動かしてないと、佐倉への苛立ちとか、園田へのやり場のない気持ちとか。
頭の中を駆け巡ってやってらんなかった。
我ながら小さいやつ。


佐倉に言われた中途半端って言葉。
すっげぇ当たってて、それを一番嫌なやつに指摘されて。
イライラしてしょうがなかった。




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魔法のコトバ*  Season9 comments(4) -
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Comment








うわっっ!、出たとたんのっけからBlackモード大全開ですか佐倉君(佐倉ファンの皆様スミマセン...(爆))!!
こんばんわ、またまたお久しぶりの沙愛です。少々興奮気味なのは気にしないで下さい...

おほほ〜、まるで2重人格のような佐倉君(いや、"ような"でなく、人によって切り替えできるっつう事なんだろうけどね...)。なんか結構この歪んだ性格、むちゃくちゃ深く感情が入り組んでんのね。

...どーりで二人共走り出したら止まらないはずだわ。根本的に似てるんだ(苦笑)。...ますます面白くなってきたです♪。

春休み、こちらもとうとうやってきます。あの地獄の2週間が...(泣)。うるさいんですよね〜、どっか連れてけって...(大泣)。しかもお昼の食事をいつもの3倍用意しなければならない...ううっ!!早く新学期始まらないかな〜(って、まだ春休みも始まってないよ(ヲイ))それでは良い春休みを〜。
from. 沙愛 | 2007/03/23 22:19 |
●○●沙愛さんへ●○●
お久しぶりです!お返事が遅くなってしまって大変申し訳ないです。ごめんなさい(汗)
春休みはいかがですか(笑)?もう少しで新学期ですね〜。意外とあっという間でした。

佐倉はこんなキャラなんです、実は(笑)
人によって使い分けているつもりはないんだろうけど、どうしても蒼吾相手だとこうなっちゃうんですよね。彼にも思うところがいろいろとあるようです。
ましろが佐倉にときめいてる間に、裏ではこんなやりとりがありましたみたいな(笑)
楽しんでいただけているみたいでよかったです。ほっ。
from. りくそらた | 2007/04/04 21:26 |
こんにちは☆ 今日は準備登校でクラス発表がありました♪好きな人は隣のクラスでちょっと喜んでいるさくらなのですvvvvv(でもその人のクラスは階が違うんですよ。。。)まあメンバーが良いから嬉しいですvv・・・って話してもあまりおもしろくないですよね;; ついつい誰かに話したくなっちゃってw

物語おもしろい展開ですね。これからが待ち遠しいですwこれからも頑張ってくださいね♪


























from. さくら | 2007/04/06 13:08 |
●○●さくらさんへ●○●
そろそろ新学期ですね〜。
好きな人と隣のクラス・・・う〜ん、青春って感じでいいですね。春の初めのドキドキ感を思い出しました(笑)
こちらも蒼吾と佐倉が裏でバチバチやってますが・・・(笑)待ち遠しいと言っていただけて、嬉しいです。来週の中頃には再開予定です。あとしばらくお待ちくださいませ。
from. りくそらた | 2007/04/06 20:15 |
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