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魔法のコトバ*  Season10 気持ちが動く瞬間-2-
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Season10  気持ちが動く瞬間-2-

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「──────ましろ、大丈夫?」
次に目を開けたときは、うっすら東の空が白んでいて。
ママが心配そうに顔を覗き込んでいた。
「学校、行けそう?」
優しく問いかけながらカーテンを開けた窓の向こうから、冬のまどろむような淡い光が目に飛び込んできて、突然の眩しさに目を瞑った。


一晩で気持ちの整理ができるほど器用じゃない私は、気持ちが追いつかない。
凪ちゃんに。
佐倉くんに。
蒼吾くんに。
どんな顔をして会えばいいのかわからない。
またお腹がチクリと痛んで、私は膝を抱えて顔を埋めた。
「じゃあ、学校にはお休みの連絡しておくから」
ふぅ、ってママのため息が頭の上から聞こえて。
優しい手が背中に触れた。


私はいつも逃げてばかりだ。
弱くて、意気地がなくて、泣き虫で。
そんな自分が嫌だって思うのに、その性格はそう簡単には変えれそうもない。
一度開けたカーテンを閉めようとしたママが。
「あら……?」
何かに気付いたように手を止めた。
「ましろ、ちょっと」
手招きをされて、気だるい体を起して、南側に面した大きな白い窓から外を覗いた。



うちの玄関の前。
遠慮がちに端に寄せられた自転車の横。
門扉にもたれて突っ立ってる男の子が見えた。
斜めがけにした大きなスポーツバッグに短髪の頭。
でっかいマフラーをぐるぐる首に巻いて、体格のいい背を丸めてポケットに手を突っ込んで突っ立ってる。
ドクリと心臓が音を立てた。






蒼吾くんだ。どうして………。





「知ってる子?」

ママが聞く。



あの短い頭も、大きな背中も。
綺麗な藍色の自転車も。
よく知ってる。
あの温かくて大きな手のひらで私を抱きしめて。
でっかく太陽みたいに笑う口元をきゅっと結んで。
グランドの端まで届くような大きな声が、泣きそうなくらい切なさを乗せて。
私に言ったんだ。




『────────オレ、お前が好きだ。もう、ずっと前から────』






思い出したら、体の熱が一気に上昇した。
どうしよう。
どうしよう。
なんで?
どうして、蒼吾くんがこんなところにいるの?
私はへなへなとその場に座り込んだ。


「あら、やっぱり…。見覚えあると思ったら」
窓からじっと見下ろしていたママが、ぺこりと頭を下げた。
「あのときの男の子! ほら、ましろと同じ桜塚小学校だった……!」
知ってるよ、ママ。
だって同じ高校の制服着てるもん。
知らないわけないでしょ。
「ずっと待ってたのかしら…」
心配そうに頬に手を当てながら、下を覗き込む。
なんか。
嫌な予感がした。





「中、入ってもらおうか?
だってましろを待ってるんでしょ? 彼氏じゃないの?」


嬉しそうに顔をほころばせながら、明るいトーンで私を振り返る。
嫌な予感って、なんでいつも的中しちゃうんだろ。



「いつから待ってたのかしら?
ママ、先に下に降りて彼に入っててもらうから、準備してなさい」
「ちょっと待ってよ」
「着替えないの? それだったら、何か上に羽織った方がいいわよ」
パジャマのままじゃちょっとね、って。
ベッドの脇にたたんであったカーディガンを手渡した。
「もう随分前から待ってる感じじゃない。ましろを待ってて風邪引きました…なんてことになったら、ママいやよ?」
いやよ、って。
そんなこと私に言われても困るのに。
「部屋に上がってもらう?それともリビングがいいかしら?」
珍しい男の子の来客に嬉しさを隠せないママは、テキパキと片づけを済ませる。
普段はおっとりのんびりなママなのに、こういう時ははりきっちゃう。
頭が痛い。

「ほらほら。早く着替えて」
「ちょっと……、ちょっと待ってよ、ママ!」
「あまり長く待たせてると、愛想つかされちゃうわよ?」
「夏木くんはそんなんじゃないから……っ」
「あら。夏木くんっていうの? たしかそんな名前だった気がするわね」

私の気持ちも露知らず、のんきな声を上げるママが、このときばかりは本気で憎らしかった。




「………帰って、もらってよ…」

どんな顔して会ったらいいのかわかんないのに。
気持ちの整理なんて、まだできていないのに。


「あらあら。喧嘩したの? それならなおさら入ってもらわなくちゃね? 時間が経てば経つほど、仲直りってしにくくなるのよ」
ほら早く、と急かされた。
「じゃ、先に玄関まで入っててもらうからね?」
急ぎ足で部屋を出ようとするママを思わず大きな声で呼び止めた。




「ママっ」
「なぁに?」




「…私、学校行くから。準備して、ちゃんと降りるから。だから待って──────!」






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Comment








お久しぶりですっっ☆面白い展開になってきましたねwww ・・・前回の続きですかwww
もうす〜っごく楽しみにしていました♪
ましろや蒼吾、凪に佐倉くんどうなっちゃうんでしょうか?? でも最後はみんなハッピーエンドがいいな〜wwなんて思っていたりしちゃいますwwww これからも小説頑張ってくださいね!! 
from. さくら | 2007/05/20 17:08 |
●○●さくらさんへ●○●
おお!
あの続きを楽しみにしてくださってたのですね。そのお言葉だけでも頑張れそうな気がします!
大変長らくお待たせいたしました。
それぞれの気持ちが一方通行片思いなので、どっちにでも転げられる展開ですよね(笑)4人が幸せになれるハッピーエンドだといいな、と期待していてくださいね〜。
from. りくそらた | 2007/05/21 08:58 |
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