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魔法のコトバ*  Season10 気持ちが動く瞬間-18-
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Season10  気持ちが動く瞬間-18-

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「───蒼吾…っ…!?」


教室を覗き込んだ守口くんの声。
ぱこぱこ、って。
上靴のかかとを踏んだスリッパみたいな足音。
動物園の熊みたいに、教室と廊下を行ったり来たり。

ぱこぱこぱこ……ん。



「…あ…れ……?」





すぐ近くで聞こえるのに。
遥か遠くから聞こえるような錯覚に陥る。






なんで。

どうして、こんな状況になっているのか、わからなくて。
雪のように真っ白になった頭が一瞬、思考を止めた。




腕を強く引かれて。
滑り込むようにして潜った教卓の下。
私の小さな体は、蒼吾くんの膝の間にすっぽりと収まっていて。
その大きな肩に頭を乗せるような形で、座り込んでいた。
大きな手のひらが庇うように背中に添えられて。
セーラー服の向こうに、彼の体温を感じる。

「…夏───」
「シッ」

唇に押し当てられた手はじんわりと汗ばんでいて。
それがますます蒼吾くんの存在を意識させる。








どうしよう。




どうしよう…っ。







「…っかしいなぁ……?」

ふて腐れたように呟く声と、教室を覗き込んだ足音が、だんだんと遠ざかっていって。
何もなかったかのように、教室に静寂が戻る。
静かすぎて。
耳の奥が痛い。
じっと空気が鳴ってる気がする。
ただ聞こえてくるのは、蒼吾くんの吐息と私の鼓動。
一度跳ね上がってしまったそれは、止まることはなく。
ますます加速していく。
吐息で前髪が揺れるぐらいに近い蒼吾くんとの距離が息を詰まらせる。
呼吸がうまくできない。
全身で。
蒼吾くんの存在を意識してしまう。

喉の奥が乾いて、唇が震えて。
どうしようもないくらいに、熱くてたまらない。





「…っぶねぇ〜……」
大きく息を吐いて。
「しつこいよな、アイツ」
呆れたような声で笑う。

笑い返す余裕なんてなくて。
私は。
そこに座り込んでしまったまま動けない。




「…園田。平気…?」




前髪が揺れた。





「…園田…?」





「……」





「立てる…?」




鼻の奥がつんとして。
落ち着こうと吸った呼吸が上手く出来ない。
ちょっと気を抜いたらすぐに声が緩んでしまいそうで。
震える気持ちをきゅっと噛み締めた。



「…大丈、夫…」



強がってはみるけれど、大丈夫って笑顔を作れるほど気持ちに余裕なんてなくて。
ただ俯くばかり。




「もうアイツ、いねぇから、出ても大丈夫だぞ?」
「……」
「俺、お前が出てくれないと、出れねーし」

「……うん…」

わかってる。
でも、立てないの。
体中から力が抜け落ちて、全く力が入んない。


きっと私。ひどい顔してる。

俯いた顔に長い髪が掛かって、それをうまく隠してくれる。
それだけが救い。






なのに。



「…髪。ジャマじゃねーの?」


蒼吾くんがその髪をそっとかき上げた。
暗かった視界が急に明るくなって、飛び込んできた世界。

ドクリって。
それこそ痛いくらいに。
心が高鳴った。




髪に防御されて気付かなかった蒼吾くんとの距離が。
すごく。近い。
少しでも顔を上げれば。
触れてしまいそうなぐらい側にある蒼吾くんの唇。
突き上げられた激しい胸の痛みで、まともに顔が見られない。
なのに絡まってしまった視線は外すことができなかった。




「…な。園田…」




その唇がゆっくりと動いた。



「この状況、俺的にはすげぇラッキーなんだけど…」



彼が呟く。





「このまま、抱きしめても、い?」







NEXT→
魔法のコトバ  Season10 comments(6) -
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Comment








お、おおおおおおおおお……(卒倒)
抱きしめてしまえー!(←

蒼吾ってば、いい奴(もしくは、りくそらた様の言う通り、中坊)!
普通聞かないですよね〜
がばっといきますよね〜
誠実なんだか、なんなんだか(笑)
でも、相当彼も舞い上がっているのかな。いいです、いい!

またいいところで切られました(泣)
続き、本当に楽しみにしていますから!
from. 史間 | 2007/06/23 01:14 |
●○●史間さんへ●○●
あははー(笑)!!
がばっといきますよね〜。というか、がばっていってほしいところなんですけど(笑)
彼は前科持ちなので、そうはいかないようです(苦笑)

また、いいところで切っちゃったので、続きを楽しみにしていただけると嬉しいです〜。
from. りくそらた | 2007/06/23 09:09 |
そらさん〜wwww
ちょ〜お久しぶりです!!!
え、ちょっと!!も〜何すっごくいい話作っちゃってるんですか??www
いいですねwww蒼吾いっちょやったれwww
ってかましろもいい味出してますよwww
もうこれからが楽しみですww
じゃあいつになるか分かりませんが、小説また読みに来てコメントしますねwww
P.S.ヨッパライ気分ですいません;;つい興奮してしまったものですからww
from. さくら | 2007/06/24 09:31 |
●○●さくらさんへ●○●
興奮冷めやらぬコメントをありがとうございました(笑)
とても楽しんでいただけた様子が伝わって、嬉しくなりました。
蒼吾もましろも。いっぱいいっぱいみたいです(笑)
from. りくそらた | 2007/06/24 10:28 |
初投稿です!
毎回楽しみに見ています!!!
いろんな小説見たけど、魔法のコトバ*が一番好きです!
これからもいい小説をいっぱい書いてください!!!!!!
応援しています!!!!!!!!!!!!!!
from. ひかる | 2007/06/24 12:44 |
●○●ひかるさんへ●○●
はじめまして。いらっしゃいませ!
まほコトが一番好きだなんて言っていただけて、とても嬉しくてホロリときてしまいました。ありがとうございます。
読んでくださる方々の励ましのお言葉が、私にとっては元気になる魔法の言葉だったりします。
少しでもいい作品が書けるようにこれからも頑張ります!応援ありがとうございました!!
from. りくそらた | 2007/06/25 10:03 |
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