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魔法のコトバ*  Season10 気持ちが動く瞬間-19-
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Season10  気持ちが動く瞬間-19-

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体中の。
ありとあらゆる水分が上気して沸騰した。
そういう表現が正しいと思う。

心の中まで見透かしてしまいそうなぐらいの真っ直ぐな瞳が、じっと私を見つめて。
蒼吾くんの気持ちが、思考の中まで流れ込んでくるみたいな気がして。
どうしようもなく苦しくなった。
呼吸がうまくできない。



たぶん。
抱きしめられたら、私はおしまいだ───。







そう思ったら、体に力が入った。
風船に息を吹き込むみたいに。
そしたら次の瞬間。

がこんッ!!

物凄い音がした。


星が飛ぶっていうのかな。
それぐらい勢いよく、教卓に頭をぶつけてしまった。
あまりにも動揺しすぎて。
今いる場所とか、状況とか。
すっかり頭の中からふっ飛んでしまってた。


「…った……いっ」


ぶつけた頭の痛みよりもずっと、胸が痛い。
その痛みをぶつけたせいにして、唇をきゅっと噛み締める。
いろいろな感情が複雑に混じり合って。
涙が浮んだ。




「お前…急に立つなよ〜。てゆーか、拒否りすぎ」


私のそれを。
本気で驚いたように目を丸くして。
呆れたように、ちょっぴり拗ねたように。
それでも笑いながら。
大丈夫か?って。
私を心配そうに覗き込んで蒼吾くんが吹き出した。


「園田がそんなに動揺すんの、初めて見た」
「…だって…」

だって。
抱きしめていい?なんて。
そんなこと、急に言うから。

「平気か?結構、派手にぶつけたけど…」
心配そうに差し出された手を、思わずパシッって払ってしまう。

「…あ」

蒼吾くんが小さく呟いた。
その声は明らかに驚きを隠しきれない声。

「怒ってんの?」
「…怒ってないよ…」
「嘘つけ。顔が怒ってる」
「怒ってない…ってば…っ」

自分でもびっくりするぐらい大きな声が出た。
気まずくて、唇を噛み締めて足元をじっと見つめる。
そうでもしないと溢れてしまいそうな思いを抱えることが出来ない。
でもそれが、蒼吾くんの目には怒ってるように映るのかもしれない。




「…夏木くんはずるい。…ずるいよ…」


私の気持ち知ってるくせに、それでも真っ直ぐに気持ちをぶつけてくる。
気持ちが負けそうになっちゃう。
「なんだよそれ。何がずるいんだよ?」
「…だって…」
「なに?」

「…だって……っ」


視線がぶつかって、蒼吾くんの真剣な色を湛えた瞳がじっと私を見つめる。
私の言葉を。返事を、待ってる。

「私……」

喉元まで出かかったたった2文字のコトバ。



─── 蒼吾くんが、 ス キ ───。



それを。
飲み込んでしまった。





「…ごめ…ん…」


私はやっぱり弱虫だ。








「なんだよそれ。…お前の方がずるいよ。いつも逃げてばっかで」



俯いた視界に蒼吾くんのつま先が見えた。
かかとを踏んで、少し薄汚れた上靴。
「そうやって下、向いてばっかでさ」
それがゆっくり近づいて。
体の横に降ろされた蒼吾くんの拳が、ぎゅって握りしめられた。
いろんな感情が、蒼吾くんのその拳の中で握りしめられている。
そんな気がしてならない。

「それって、俺が嫌だから?
それとも俺のこと…ちょっとでも意識してくれてんの?」

弾かれたように見上げた視線を蒼吾くんの瞳が絡め取った。

「───どっち?」



心の奥まで見透かしてしまいそうな強い瞳に私が映って。
それがだんだんと近くに見えて。
あ。って思った時には。



抱きしめられてた。




「…俺、お前のそういう顔見んの、もう、結構限界…」




喉の奥が乾いて苦しい程に、抱きしめられた身体が悲鳴を上げた。
名前を紡ぐことも出来ないくらいに強く、強く抱きしめる。

蒼吾くんは気付いてるのかもしれない。
私の気持ちが少しずつ流れているのを。
微かな心の変化を。
確かに感じ取ってる。



「気持ち、リセットしてくれよ…?」



肩口に深く顔を埋めて蒼吾くんが耳元で呟いた。
急いでそこから離れようとしても。
息苦しくなるくらいにぎゅっと抱きしめた腕を離そうとしてくれない。




「…無理だよ…。
気持ち…そんなに簡単じゃない…よ……」

「俺だって。簡単じゃねぇよ」


また。
強く抱きしめられる。






校舎がじっと静寂を鳴らして、グランドからは微かに部活動の声がする。
蒼吾くんの肩越しに、白いものが見えた。
窓の向こう。
それはゆっくり舞い落ちる。




「俺。お前以外、考えられねーから…。だから…───」




─── 俺のこと、好きになってよ  ───





空っぽだった私の心に。
蒼吾くんのコトバと気持ちが降ってくる。
優しく。温かく。柔らかに。
どこまでもどこまでも、真っ直ぐな気持ち。
それはまるで、雪のように白くて柔らかくて。
なのに、あったかくって。
いっぱいになって溢れちゃうんじゃないかって思った。


ましろのしろは雪の白。
真っ白な雪は、人の心も真っ白に変える魔法の白。



しんしんと降りづづいた雪は。
また街を真っ白に変えた。

空っぽだった私の心に。
蒼吾くんの気持ちが、簡単に入り込んでしまった。





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魔法のコトバ  Season10 comments(6) -
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Comment








続けてすみません(>*<)
最後の蒼吾の「俺のこと、好きになってよ」の言葉がドキッとしました。
本当にこんなことを彼氏に言われたら失神してしまいます!!!!!
from. ひかる | 2007/06/24 12:55 |
二度目の投稿です☆
私が言うのもおかしいですけど、表現の仕方上手いですね・・・
純粋にすごいと思いました。
絶対どこかの出版社の人が見たら「本を出そう!!」的なことになりそうですねww
そしたらあたし必ず買いますねwww
ではでは♪
from. さくら | 2007/06/24 15:14 |
おう!
ついにこの時が(笑)
興奮というか、なんか優しい、きゅんとした気持ちになりました。
蒼吾の気持ちも、すごく伝わってきて…

ましろちゃんの白、かぁ。
流されやすい子って以前おっしゃってましたけど、
見方を変えれば、偏見を持たず、
感じたままを、感じられる子、なんでしょうね〜いい子だ〜(涙)

さて、真っ白なのは頭もか(笑)
ましろちゃんは、どう返事をするのかな?
素直になっても大丈夫だよ!
もう、いろいろ我慢しなくていいんだよ!
…と、遠くの地から、お姉さんは願うのでした。
from. 史間 | 2007/06/24 19:22 |
●○●ひかるさんへ●○●
「俺のこと、好きになってよ」。
そんなセリフ、一度は言われてみたいものです(笑)でも、聞きようによっては俺様的なセリフに聞こえないこともないですよね(苦笑)。
そこまでの気持ちの過程があるから、言えるセリフですよね。ひかるさんの心にはちゃんと響いてくれたようで、よかったです。


●○●さくらさんへ●○●
あはは(笑)
私なんてまだまだだと思ってます。オンライン作家の素人さんの中には、もっともっと素晴らしい方がたくさんいらっしゃいますし。私なんてその足元にも及ばない程度で…。大変、恐縮です。
でも気持ちが伝わってとても嬉しかったです。ありがとうございます〜。


●○●史間さんへ●○●
私は史間さんのコメントを読んで、きゅんとなりました。よくご理解いただけているのだなーと、嬉しくなります。

さて。頭が真っ白です(笑)
ましろがどういう答えを導き出すのか、蒼吾がどこまで我慢できるのか(笑)
また遠くの地から、見守っていてくださいね!
from. りくそらた | 2007/06/25 10:20 |
はじめまして。麻衣です!
私は昨日この話知ったんですけど、
もう読んじゃいました!
すごくよかったです!
蒼吾のキモチもましろのキモチも
佐倉のキモチも凪のキモチも
フクザツだけど・・・
すごくわかりますっ!!!
恋ッて大変ですー
私は女子校だから恋とかあんまできません!((泣
なんかこれ読んで恋したくなりました(*^U^*)/
続きたのしみにしてます☆
from. 麻衣 | 2007/07/14 17:17 |
●○●麻衣さんへ●○●
はじめまして。いらっしゃいませ!コメントをありがとうございました。

恋愛って難しいですよね。この4人の場合は特に気持ちの矢印が一方通行なので複雑でした(笑)
麻衣さんは女子高ですか!私も相方もそうでした。
女子高だとスクールラブは難しいかもしれませんが、意外なところに恋は転がっているかも!?素敵な恋を見つけてくださいね〜!!
続き。どうぞお楽しみに♪
from. りくそらた | 2007/07/18 08:34 |
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