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全力少年 4
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嵐、到来    サイド*蒼吾 

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安部 嵐は小中学時代のクラスメイトだ。
オブラートに包まないストレートな物言いと、勝ち気な性格。
行動力と見た目の派手さで、クラスの中でもひと際目立つ存在だった。
ノリがよくて話が面白いから、友達も多い。
だけど。
自己中で、何でも自分がイチバンでないと気が済まない俺様的性格で。
良くも悪くも周りを巻き込んでいくトラブルメーカーだった。
クラスメイトのひとりとして関わるのは問題ない。
だけど、深く踏み込むとロクなことがない。
実際、こいつのせいで、オレの初恋は苦い思い出へと変わった。
もちろん自業自得ではあるんだけどさ。
でも、そのきっかけを作ったのは間違えなくコイツだ。
安部が絡んでこなければ、園田を傷つけることもなかった。
恨んでないっていったら嘘になる。
別の高校へと進学したこいつとは。
もう、会うこともないって思ってたのに。


「何でお前がここにいるんだよ?」
「見てわかんねーのかよ? バスケの練習試合にきまってんだろ」
フンと鼻で笑って、背後の常盤大付属の制服集団を指差した。
スポーツバッグにぶら下げた使い込まれたバッシュが、視界に映る。
「まだやってんの?」
「一応、これでもうちのNO1エースだけど?」
スポーツバッグからこれ見よがしにユニフォームを取り出して、自慢げに安部が広げてみせる。
フン!と鼻が膨らんだ。
「自称、でしょ」
「…んだよ!勝負してみるか?」
安部が喧嘩腰で、日下部に喰ってかかる。
コイツらの関係って、あの頃からちっとも進歩ねぇ。
マジで頭痛い。
「…話になんないわ」
埒があかないと思ったのか、日下部が呆れたように肩をすくめてフイっと顔を背けた。
確かに。
日下部の冷静な判断は正しい。
「じゃあね、蒼吾」
オレにだけ手を振って、日下部はその場から立ち去った。
もうバカに関わるのはうんざりだ、と。
無言の背中がひしひしと語ってる。

「相変わらずだな、アイツ」
心底、嫌そうに安部が顔をしかめた。
「チームメートがさ、すっげぇ美人がいるって盛り上がってたから期待してたのに、日下部じゃあな。試合前に会いたくなかったぜ。テンション下がる。
黙ってりゃ、美人なのにな」
もったいねーと付け加えて、黒髪翻す後姿に悪態をついた。
他校生の横を日下部が通り抜けた時。
どよどよっとっと、ざわめきが起こる。
無理もない。
日下部は、その辺の女子高生とは違う大人びた美少女だ。
メイクで作り上げた偽者なんかじゃなくて、素材そのものがずば抜けて整ってる。
オレは付き合い長いから見慣れてるけどさ。
外見でしか判断できない他校生から見れば、なおさらだろう。

「いくら美人つってもな、あれだけ気ィ強かったら彼氏もできねぇよな。
男が引くって」
な?と、安部がオレを振り返る。
なぜそこで、オレに同意を求める?

「アイツさ、今、佐倉と付き合ってんだよ」






「───……マジで?」


すっげぇ間。
今ので十分、安部の驚きが伝わるのに。
吊上がった一重の目をこれでもかってなぐらい大きく見開いて、顔を寄せてくる。
「日下部と佐倉!? その組み合わせ、ありえねーだろ? 大体、日下部ってお前のこと好きだったんじゃねーのかよ?」
「何でそれ、お前が知ってんだよ…」
オレ、誰にも言ってねえぞ?
「日下部の片思いの相手がお前だっていうの、超有名。桜小のヤツなら誰でも知ってる」
オレがアイツの気持ちを知ったのって、中学ん時だぞ?
それ以前に他の奴らは、気付いてたってことか?
鈍いにも程がある。
「ま、日下部の話はどーでもいいんだけどさ」
心底どうでもよさそうに言葉をこぼして、安部がオレに向き直った。
「お前、最近どうよ?」
「どうって何が?」
「彼女。できたか?」
突然、話を振ってきた。
「んー…。あー…一応、な」






「───……マジで?」


だから。
その間は何なんだよ。
「…オレに彼女がいたらおかしーか?」
「別におかしくねぇけど…」
抱えた荷物をその場に放り出して、安部がオレの隣に腰を降ろす。
アチッとこぼしながらタイを緩め、真面目な顔で言った。


「だってお前。ずーっと園田、一筋だったじゃん?」



「あー………」




実はオレ、その園田と付き合ってんだ───。



って。
話すほど、安部のこと信用してねぇ。
ていうか、平和にうまくいってんだ。
コイツに余計な情報は無用。
好奇心で首を突っ込まれて、引っかき回されるのはごめんだ。

「そういうお前はどうなんだよ」
「あ?」
「篠岡。まだ付き合ってんの?」
さりげなく話をすり替える。
長く詮索されるとボロが出そうだ。
早めに話を切り替える方が得策。

「あー……。とっくに別れた」
一瞬、苦い顔をしたあと、さらっと笑って言った。
そんなこと何でもない、みたいに。


「アイツ。新しいガッコで、好きな男できたんだってよ。バカだよな。この俺よりイイ男なんているわけねぇのに。今頃、別れたこと後悔してんじゃね?」
「…お前、すんなりそれを受け入れたのか?」
「しかたねぇだろ? 別れたいっつってんだから」
「引き止めなかったのかよ?」
「そんなかっこ悪いことするわけねーだろ!?
もともとアイツが俺のこと好きだっつーから、つき合ってやってたんだし」
どこまで俺様なんだよ、お前は。
安部のことだから、ひどい別れ方をしたに違いない。
篠岡、泣いたんだろうな。

「大体、男女の関係なんてな、離れたらおしまいなんだよ。結局、側にいるもんの勝ち。お前も正解だよ」
「何が?」
「園田のこと。
帰って来るあてのないヤツをいくら想ったって、無駄だってこと。
結局、距離には勝てねーんだ。しかも片思いだろ? 望みはゼロだ」
「───オレは…距離に勝てないなんて思わねーよ」

「あん?」
「結局、勝てなかったのは、安部の気持ちだろ? 距離に負けたんじゃねぇ。
お前のことだから、ふて腐れてとっとと身を引いたんだろ?」
意地とプライドだけは人一倍、高いからな。
「篠岡は、本当はお前に引き止めて欲しかったんじゃねーの? 簡単に諦めるからそうゆーことになるんだ」
「…言うね、お前。俺が傷ついてるかもって思わねーの?」
「そんなヤツじゃねーだろ」
「そうだけどよ」
あっけらかんと安部が言ってのけた。
「てか、お前の彼女の話してんのに、俺に話振んなよ。大体なぁ……」
何かを言いかけて安部が、固まった。
オレを通り越して、視線がその向こうで止まる。


ナンダ?




「───蒼吾くん…?」



安部の目が、ますます大きく見開かれた。
振り返らなくても後ろに誰がいるのかぐらい想像がつく。
オレの事を『蒼吾くん』なんて呼ぶ人物はひとりしかいない。
体が硬直した。




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全力少年(魔法のコトバ* 続編) comments(12) -
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Comment








久しぶりの更新、嬉しいです!!
続きが気きになります〜。
まほこと、好きなので続編も楽しいです。
だって、終わってほしくないですもん(笑)
私も、蒼吾とましろみたいな恋したいです〜!!
安部君の登場が、怪しいですよね〜(笑)
良い事はなさそうですもん(笑)
凪は相変わらずかっこいいですね。
あこがれちゃいます!!
それでは、体調に気をつけてくださいね!
また、更新楽しみにしてます!!
from. 夢羽 | 2008/09/27 21:29 |
久しぶりの更新ですね!
てか安部とましろが遭うってヤバクナイデスカ・・・・!?
蒼吾、ちゃんとましろのこと護ってよ?
そんな気分ですね。

それから遅くなってしまいましたが、男の子出産、おめでとうございますw
育児って大変そうですし、あまり無理をなさらず、健康に気をつけてください。
ちなみに私は今、ホームページ作りに奮闘中でございます。。。(あんまりうまくいっておりませぬ。。。。)

ではではw
from. 琴音 | 2008/09/28 00:17 |
*夢羽さんへ*
うは!
終わってほしくないなんて、嬉しいお言葉をありがとうございます〜!
続編もしばらく長く続くので、楽しんでいただければ嬉しいです。

安部っちヤバイですね。
ご想像通り、良いことはないはずですよ(笑)
でも彼なりに思うところがあっての行動なので、そことのころを今後、じっくりと書いていけたらいいなって思ってます。
また楽しみにしていてくださいね!


*琴音さんへ*
ホント久しぶりの更新でお待たせしてしまって申し訳ないです。

みなさんの想像通りヤバイ展開に突入しそうですが、本編にはなかった危うい展開を楽しんで(?)いただけたら嬉しいです。
って、嵐みたいなキャラは邪魔者意外何者でもないんだけど…(苦笑)

お祝いのお言葉もありがとうございました!
今もチビ君が熟睡している間に、PCに向かっています。
子育ての間の貴重な自分時間です〜。
琴音さんはHP製作中ですか!
私は時間も知識もないので、途中放置中でございます。
頑張って開設してくださいね!
from. りくそらた | 2008/09/28 14:22 |
始めまして。兎露珀梓(とろはくし
と申します。
りくそらたさんがお休みの間、
読ませていただきました。
すっごく私の好きな感じで、いつも、
びっくりする展開に驚いたりしています。
お休みから帰って来たのに気づき、
それで今、コメントを書いています。

嵐、あの子は嵐、そのまんまですね(笑
そしてかなりの噂が好きで知りたがりや。
とっても大阪とかのおばさんっぽいですww
でも、そこに、あの人が来るともっとやばいですね。
うんうん。やばい。やばすぎますね。
でもすでに来ちゃったり・・・・(汗
で、でも違うことを信じたい・・・・

・・・・。暴走&妄想中・・・・・。

ピッコーン!うぎゃあああああああ!
・・・・。(すいません。。。なんかこれでおしまいで。今度はちゃんとした文章でコメントしたいと思います・・・)
from. 兎露珀梓 | 2008/10/04 12:12 |
*兎露珀梓さんへ*
はじめまして、いらっしゃいませ!
勢いのあるコメントをありがとうございました。
楽しんで読んでいただけたのがわかって、とても嬉しいです。

嵐、大阪のおばちゃんみたいですか?(笑)
でもそれぐらい勢いがありますよね。
ずうずうしいというか、首を突っ込みたがるところとか…(大阪のおばちゃん、ゴメンナサイ)
ほんと名前の通りのヤツです。

コメントの勢いから、今後の展開を妄想している兎露珀梓さんが想像できて、思わず笑ってしまいました(笑)
どうぞ続きを楽しみにしていてくださいね!
from. りくそらた | 2008/10/04 17:28 |
お久しぶりです!!
たまたま来たら更新されてるっ!!
ってなってワクワクしながら読みましたw
てか展開がっ…やばいですっ 笑
続き楽しみにしてます★
from. 志歩 | 2008/10/08 17:14 |
*志歩さんへ*
ふふふ。
やばそうな展開ですね(笑)
でもあべっちは書いていて楽しいです。

子育てに追われて、なかなか更新ができませんが…。また楽しみにしていてくださいね♪
from. りくそらた | 2008/10/08 18:13 |
【嵐】なんかやばいですね。

あんまりましろと蒼吾のこと掻き回さんといてやぁ
って感じですな...

こちらものんびりやってください。
from. ゆい | 2008/10/11 14:30 |
ちょこちょことお邪魔しています。
更新すごく嬉しいです♪

いろいろ不安ですが、とっても好きな展開です(*^-^*)笑
ドキドキしながら、更新をこころまちにしています!

とはいえ、お体には気をつけてくださいませ。
当方は安定期=食欲の秋=どんどん体重増加で危険信号中です(汗)
from. 鈴 | 2008/10/21 23:23 |
*ゆいさんへ*
嵐に対するみなさんの反応がおもしろくて、にやにやしながらコメントを拝読させてもらってます。
ましろも蒼吾も素直で単純なので、今後どうなることやら(笑)

*鈴さんへ*
オジャマキャラの嵐は好き嫌いがはっきり分れるだろうな〜と思いながら書いてます。
こういう展開ってベタなんだけど、楽しいですよね(って、私だけ?)
食欲の秋ですよね。チョコ好きな私にとって、チョコレートの新製品が店頭に並ぶこの時期はすごくヤバイです(笑)
from. りくそらた | 2008/10/22 13:10 |
初めまして、りくそらたサマ。
おととい初めて『魔法のコトバ』を読み始めまして…
…、、やっとココまでありつけました;;
切ないです…。ね。本当に…
って言うか、蒼吾がスッゴクかっこいいです!!
一途な少年好きなんです///
ましろちゃんも可愛いですね。それに凪ちゃんも…。
皆好きです。
更新待っているんで、がんばって下さい!!
応援してます。
from. 春 | 2008/10/30 21:31 |
*春さんへ*
春さんはじめまして!
長い長いまほコトの拝読、ありがとうございます。
『青春小説大賞』のエントリーに向けて手直しする為に、私もまほコトを最初から読み直しているのですが、かなり時間がかかっています。
途中リタイアせずここまでお付き合いいただけて、とても嬉しいです。

連載当初から、蒼吾の支持率はとても高いです。
自分の理想のかたまりを蒼吾に背負わせて書いたので(笑)、蒼吾を支持してもらえるのはとても嬉しい♪
来週辺りには続きを更新する予定ですので、ガンバリマス!

from. りくそらた | 2008/10/31 11:03 |
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