http://miimama.jugem.jp/

スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

- - -
全力少年 5
*******************************************

オレの彼女    サイド*蒼吾 

*******************************************

「こんなところにいたんだ。探した」
おそるおそる振り返った先には、想像通りの人物が立っていて。
長いふわふわの髪を揺らして、園田がオレを覗き込んでいた。
「あのね。蒼吾くんのクラスの人にこれ、渡してって頼まれて───」
何気なくオレの隣に視線を泳がせた園田の言葉が詰まる。
───気付いた。
そう思ったのに。
園田は柔らかく笑って会釈をしただけ。
アレ?
もしかして“安部”だって、気付いてねぇの?

あれから5年。
オレも安部も変わった。
背だって髪だって伸びたし、顔つきだって変わった。
ずっと下を向いてばかりいた園田の記憶の中の安部は、想像以上に曖昧なのかもしれない。
同じ学校ならともかく、他校生の安部がこんなところにいるなんて思いもしないだろう。
気付いてないなら好都合。
安部とはもうこれっきり。
このまま気付かないでいる方が、いいに決まってる。


「今日は一緒に帰れる?」


園田がそっと顔を近づけた。
息が耳に触れて、シャンプーの匂いが鼻をくすぐる。
抱きしめた時の体の柔らかさを思い出して、全身が粟立った。

「ゴメン。今日は部活の後、ミーティングあるんだ。遅くなりそうだし…先に帰ってて」
「…そっか。残念」
泣き笑いみたいな表情にクラリとくる。
今ここに安部がいなかったら───って、めちゃくちゃ歯痒い。


「日下部が探してたぞ」
「凪ちゃんが?」
「ケータイ、忘れてたって」
「…あ……」


丸っこい目を大きく見開いて、ポケットを探る。
目的の物は見つからなかったらしい。
くしゃりと園田の顔が曇った。


「南校舎の方、行ったから。今から追いかければ間に合うんじゃねーの?」


早く行った方がいい。
安部に気付かないうちに。


「ありがとう。じゃあ…夜、メールするね」


もう一度ぺこりと安部に頭を下げて、園田が立ち上がった。
バイバイと手を振って校舎の向こうに消える。
長いふわふわの髪と短いスカートを翻して。
あーあ。
安部さえいなかったら、あの柔らかい髪にも唇にも触れられたのに。








「…おい…。今の、園田か───?」





校舎の向こうを見つめたまま、安部が口を開いた。



「アイツ、こっちに戻って来たのか? いつから!? …つか。何だよ!? 今の会話!」



ようやくいつもの勢いを取り戻して、オレに食いつく。










「…もしかしてお前……。あの園田と、付き合ってんの?」











「……だったら、何?」




お前にはカンケーないだろ?









「そんなすごい顔して睨むなよ。別に今さら、アイツを苛めたりしねえよ。ガキじゃねーんだし」
どうだか。
お前が首を突っ込んでくるとろくなことがないのは百も承知だ。



「やっぱマジで園田だ───」


安部の視線が、校舎の向こうに向けられる。
日下部を追いかけて行ったはずの園田が、真っ白なケータイを握りしめて、こっちに向かって手を振っていた。
どうやら日下部と、無事、合流できたらしい。


「全然かわんねーな、アイツ。チビのままだし、存在感薄いし。相変わらず日下部とつるんでるしさ」
園田の隣で、日下部がこっちを睨んでる。
よほど安部が嫌らしい。
いつまでも手を振る園田の腕を掴んで、日下部がその場から連れ出した。
園田が安部の存在に気付いていないことを察したらしい。
さすが。


「しっかし驚きだよなぁ! 園田が戻ってきてて、しかもお前と付き合ってるなんて。桜小のやつらが聞いたら、どんな反応するか…」
「言うなよ」
「なんで?」
「あることないこと。お前はいつも事を大げさにするだろ? 引っ掻き回されるこっちの身にもなってみろ!」
たまったもんじゃない。
安部の勝手な好奇心と意地とで、オレも園田も傷ついた。
あんなのは二度と御免だ。
「んだよ。マジになりやがって。…俺だってな、人の恋路に首を突っ込むほど暇じゃねえよ!」
んだよ!幸せそうな顔しやがってよ!と。
バッシュに紐を通しながら暴言をぶつける。
そうだよ。
幸せなんだから邪魔すんな。

「じゃあな。俺行くわ」
バッシュを履き終えた安部が体育館を指差した。
オレらが話込んでるうちに。
いつの間にか着替えを終えた常盤大のバスケ部が、わらわらとコートに集まっていた。
「またな」
短くそう言って、メンバーの中に紛れる。



よかったな、とも。おめでとう、とも。
安部の口から聞くことはなかった。
冷めた目でじっと園田を追うアイツの横顔。
嫌な予感がする。
昔からこういう予感だけは、当たるんだ。


安部と園田は、会わせるべきじゃなかったのかもしれない。




←BACK / NEXT→

にほんブログ村 小説ブログ 学園・青春小説へ


(Webコンテンツは魔法のコトバ*単作品のランキングです)
全力少年(魔法のコトバ* 続編) comments(4) -
スポンサーサイト
- - -
Comment








更新嬉しいですー♪

ましろが安部クンに気がつかなくてよかったぁー・・・。
ぜったぃ!安部クンに何かされちゃうもんーー!
せっかく幸せなんだもん。。。
邪魔しないでよねっっ!!笑
蒼吾クンの嫌な予感が当たらないことを祈りますぅ・・・。

更新楽しみにしてますね〜♪
また遊びに来まーす☆
from. 夢羽 | 2008/11/16 18:42 |
*夢羽さんへ*
今回ばかりはましろの鈍さにホッとします。
蒼吾の勘が当らないことを祈っていてくださいね。
安部は侮れないヤツですから…笑。
from. りくそらた | 2008/11/17 09:52 |
本当に安部くんと会わなくて良かった……。
けどそのうち会っちゃうんですかね?
続きがすごく気になります!(>_<;;

蒼吾くんのましろちゃんに対するやさしさがもうたまりませんw
それから凪ちゃんも素敵!

今からテスト勉強に取り掛かります。。
続き楽しみですw
from. スズキ | 2008/11/19 21:50 |
*スズキさんへ*
こちらにもコメントをありがとうございます!
続き。気になりますよねぇ(笑)
アベッチをどう動かそうかと、私自身も楽しみながら書いてます。
ふたりの仲がどうか無事平穏に…と祈っていてくださいね。

テスト勉強…懐かしく、そして嫌な響きです(笑)
頑張ってくださいね。
from. りくそらた | 2008/11/20 10:55 |
<< NEW | TOP | OLD>>