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全力少年 11
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フェイク    サイド*蒼吾 

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翌日。
佐倉を問い詰めたら、簡単に吐いた。
安部とのトラブルをあっさり認めて、サラッとオレに言う。




「蒼吾にしては勘が鋭いな」

思わず胸ぐら掴みそうになったけど、それを無理矢理、腹の中に押し込める。
佐倉じゃあ、殴る相手が違う。




「何ですぐに教えなかったんだよ!?」

「だって蒼吾、聞かなかっただろ?」


それぐらい察しろ!




「ちきしょー。安部のヤツ! 何で今さら…!」



ガン!とフェンスを蹴り上げたら、耳障りな金属音が夏空に響いた。
あの目はヤバイって思ったんだ。
獲物を狙った鋭い目。
何か企んでる時のアイツの独特な笑い方。
昔、つるんでたから表情で分かる。
分かっているからこそ防げたのに、思うように動けなかった自分がもどかしくて堪らない。






「今だからだろ? ましろちゃんが戻ってきてる事、あいつは昨日知ったワケだし…」
「───何のつもりだよ、アイツ。園田のことになるといつも躍起になって、意地になって。とことんまで泣かさなきゃ気がすまねぇ。嫌なら相手にしなきゃいいのに……」
こっちは大迷惑だ。
「あの時の仕返しでも、やるつもりか…!?」














「───蒼吾。それ。ホンキで言ってる?」








「…なに?」



「安部がましろちゃんに近づいたのは、あの時の仕返しだって」









「……他に、どんな理由があるんだよ?」













「…蒼吾。お前はやっぱり、どうしようもない馬鹿だよ」











俺を見つめたまんまで、佐倉があからさまに深い溜息を零す。
顔がめちゃくちゃ呆れてる。









「なんだよ、それ。…どういう意味?」






「昨日さ、アイツにカマかけたら図星だったよ」



「カマ?……何て言ったんだよ?」









「聞きたい?」



「勿体ぶんな! さっさと言え!」











「゛ましろちゃんの気を惹きたいのなら、その態度は逆効果だと思うけど?゛って───」















「……はあぁぁ───っ!?」





飲んでいたスポーツ飲料を思わず拭き出した。
「きったないなぁ…」
佐倉があからさまに顔をしかめる。










ちょっと待て。



それ。
どういう意味だ?








「拭けよ」
佐倉のポケットから折りたたまれた綺麗なハンカチが出てくる。
動揺したにせよ、オレ。汚すぎ。
受け取ったハンカチで乱暴に口元をぬぐう。
情けねえけど、手が震えた。





「蒼吾はさ、俺よりも安部との付き合い長いんだからアイツの性格、よくわかってるだろ?
嫌な事は自分でやらない。人に無理矢理押し付ける。自己中で自分勝手。
そんなヤツがクラス全員の前でましろちゃんにキスだって? 話題性だけだったら、わざわざ安部がしなくてもいいだろう? 苛めたくなる程嫌いなのなら、人に押し付ければいい。
キライなヤツにキス───なんて、そんな罰ゲームみたいな話、安部が自分からやると思うか?」









───何やってんだよ、蒼吾! 俺がやるっていったろ!?


あの日。
キス計画を阻止したオレに、すごい剣幕で安部が捲し立てた。
激怒、って表現が正しい。
あれは、オレがアイツの計画を台無しにしたからで。
今までの事、担任にチクったからだって勘違いしてた。
「何でしゃしゃり出てくんだよ? お前じゃ、意味がねーだろ!?」
いつまでもそのことについて、ネチネチ言ってくるアイツに文句を言った。
「オレでもお前でも、どっちでもいいいだろ!?」
結果的には、園田を泣かせる事になったんだから。
お前のせいでオレは、完全に園田に嫌われた。







でも。

よーく考えてみろ。









キスの相手に園田が選ばれたわけ。
安部でなければ、意味がない理由。











それって、つまり───。





「安部はましろちゃんが嫌いで苛めてたんじゃない。“ましろちゃん”だったから。
安部は最初から、ましろちゃんの事が好きなんだよ」








人に言われると、現実味が増す。






安部の態度はフェイク。

現実は、リアル───だ。










「安部が必要以上にましろちゃんに構うのは、気を惹きたい証拠。違う?」








「あんの…天邪鬼男!」




愛情表現があまりも幼稚すぎる。
ガキか! アイツは!





「ましろちゃんを好きな事を自覚してやってるのか、それとも無自覚なのか。それは分からないけど…。
久しぶりに会ったましろちゃんが安部を覚えてなかった事と、蒼吾と付き合ってる事実が、アイツを煽ったのは確かだ。やられたらやり返せ的なアイツの性格からして、このままおとなしく引き下がるとは思えないけど…」

どうするつもり?
表情をかえることなく、佐倉が聞いた。














「……佐倉。オレ、午後の授業サボる。涼に言っといて。部活までには戻る」






やられたらやりかえせ?




やられたら倍返しだ!









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Comment








おもしろいです。
きゃほーぅーって感じな私。

鈍いですねぇ蒼吾くん。
鋭いですねぇ佐倉くん。


更新ずっと待ってたので感動的ですな
from. 杏 | 2009/02/05 21:50 |
謝ってクリックしまくった様です、
ごめんなさい
from. 杏 | 2009/02/06 08:00 |
*杏さんへ*
随分お待たせしてしまってゴメンナサイ。
蒼吾のましろ以外のことでの鈍さは相変わらず。
それが蒼吾らしさだったり…。
ずっと安部っち絡みの話を書きたかったので、ようやく書けて嬉しいです。
まだしばらく続きますよー。

(間違ってクリックした分は、こちらの方で処理させていただきました。)
from. りくそらた | 2009/02/06 18:16 |
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