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全力少年21
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素直じゃない、嘘    サイド*ましろ 

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「あべ…く……っ!! 」


「───シッ。しゃべんな。静かにしてろ!」


耳元で囁く声は怒気を含んでいて。
その声色にすくみあがった私は、思わず口を噤む。
ていうよりも、苦しくて声にならない。









「───園田…さん……? 」


抱きしめられた背後から、声。
鼻にかかるような甘えた声色に、振り返らなくても今朝の彼女がそこにいるのがわかる。
私がうんって云わないから、安部くんは実力行使に出た。





「うそ……なに…やってるの?」
「見てわかんねえのかよ?」
「だって園田さん…安部くんとは何でもないって───」


云い終わらないうちに、わっと泣き崩れるような声がした。
違うの!
安部くんとは本当に、何でもないから!
誤解を解きたくて腕から抜け出そうとするけど、安部くんは私を放そうとしなかった。
それどころか。
私が余計なことを言わないように、抱きしめた腕にますます力を加える。
この子が諦めるまで、私を利用する気だ。


「安部とは何でもないって、園田さん云ったよね? ちゃんと説明してよ! 」
もうひとりの友達が、声を荒げた。
「園田さん、ひどいよ……っ。協力してくれるって、云ったのに…っ」
「お前…そんなこと、云ったのか?」
ピクリ。
安部くんの片眉が上がる。
彼女じゃないとは云ったけど、協力するなんて私、ひと言も…。





「つか。俺ら今、取り込み中なんだけど。空気読めよ」



耳元に熱い息がかかる。
指が首筋を滑って、髪に潜ってく。
やだ。やだ…っ。
演技にしてもやりすぎだって!






「さっさと帰れよ。お前ら、邪魔だから」



わずかに垣間見えた表情は、薄っすらと笑みを称え、勝ち誇った顔。
ゾクリ。
背筋が震えた。
安部くんがこういう顔をする時は、手がつけられない。



「今いいとこなんだよ、邪魔すんなよ。──────な?」
同意を求めるように耳元で囁いて、指に私の髪を絡ませた。
「…園田さんの嘘吐き! 彼女じゃないって、云ったクセに!! 」
罵声を投げつけて。
わーっと。
彼女が大げさに声を上げて泣き崩れる。
嘘なんて言ってないのに。
私、安部くんの彼女じゃないのに。
伝えたい言葉は安部くんに遮断されて、なにひとつ伝わらない。






やっとのことで顔を上げた私は、声を上げた。
「私…っ、安部くんの彼女なんかじゃ、ないから…っ!」
「そのだ! お前なあ!」
話合わせろよ!
怒気を含んだ声が、私にだけ聞こえるトーンで耳元に囁いた。





「一体、どっちの言ってることが本当なのよ!?」

「私は、嘘なんか言ってない。本当に本当に、安部くんの彼女なんかじゃないから…」
信じて。



「──────って園田さんが言ってるけど? どうなの、安部 」





ちゃんと本当のこと云ってよ、安部くん。
嘘をついて誤魔化したって、いつかはばれちゃう。
ちゃんと本当のこと、言わなきゃ。



チッと、舌を鳴らす音が鼓膜を掠めて。
瞬間。
私は背後から、安部くんに羽交い絞めにされた。
あまりに突然すぎて、声も出ない。
頭上から安部くんの低い声。




「彼女なんかじゃねえよ。でも──────俺。こいつに惚れてるから。諦めてくんない? 」



とんでもないことを言い出す。
私はますます声を失った。
何てことを!
あくまでも私を引き合いにだすつもりなんだ、この人は。
卑怯者!


「…うそ…だよね…? また、私を遠ざける為の口実なんでしょ? 」
「嘘なんか云ってねえよ。俺にとってコイツ以外、女じゃねえ」
どの口が言ってるんだろう。
安部くん、彼女がいるんでしょう?
どうして本当のことを云わないの?
彼女を巻き込まない為?
関係ない私まで巻き込まないで欲しい。


キュッと下唇をかみ締めて、彼女が私を睨みつけた。
こぼれそうな涙を、唇を噛んで我慢した表情。
嫉妬を剥き出しにした目線。
やだな。怖い。
安部くんがついた嘘に、私はどう対処すればいいんだろう。
何とも思ってないから。
彼氏がいるから。
どんな答え方をしても、嫌味な響きにしか聞こえない。




「──────ましろ 」


聞き覚えのある声が鼓膜を揺らした。
瞬間。
安部くんの驚いた顔が、私の視界に飛び込んだ。
でも。
視線の先を辿って、もっと驚いたのは私。






「蒼吾…くん……?」


どうしてここに?



今、私のこと。
゛ましろ゛──────って、呼んだ?




大股で歩み寄って安部くんから私を引き剥がすと、威圧する彼女達の前に立ちはだかる。
蒼吾くんの体格の良さに圧倒されて、二人が息を飲むのがわかった。
その横顔は無表情だった。
どうしよう。
すごく怒ってる…。
苛立ちが空気を伝ってびりびり浸透する。
「行くぞ」
蒼吾くんは、安部くんと女の子達を見下ろすように睨みつけた後。
私の手を引いて教室を出ようとした。


「ちょっと! 待ちなさいよ! 話、終わってないから! 」


背後から呼び止められて、ピタリ。
教室の入り口で立ち止まる。
見上げたら、蒼吾くんの眉間に皺が寄るのが見えた。
フーッと溜息が零れる。




「話? することねえよ」
「アンタはなくても、こっちはあるの! ね? 園田さん」
薄く笑みを浮かべながら距離を詰める。
蒼吾くんが私を背に庇うようにして立ちはだかった。




「コイツ、オレのだから」


「──────は?」


「こいつの彼氏、オ・レ。そいつじゃねえよ! 」



蒼吾くんの言葉がダイレクトに耳に届く。
日頃からグラウンドで声を張り上げている蒼吾くんの声は、よく通る。
よく響く。
口調を強めると怒鳴られているように感じる。
今のもそういう部類だった。



「安部っ!」


蒼吾くんは安部くんがいる方向に視線を向けると、強く睨みつけた。


「勝手にコイツのこと、巻き込んでんじゃねえよ!」



バカヤロウ!と一喝して。
私の手を握ったままスタスタと歩き出す。
手を引かれるままに、教室を飛び出した。







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全力少年(魔法のコトバ* 続編) comments(4) -
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Comment








ましろがんばr
from. obaba | 2009/04/16 18:26 |
初めまして。
本編連載中から楽しませていただいていました。
蒼吾、ましろちゃんを救い出しましたね!
でも大事なのはこの後だよ〜。

from. こんぺいとう | 2009/04/16 19:07 |
初めまして☆
本編の連載途中あたりに初めて拝見してから、ずっとまほコトのファンです♪
読み進めていく内に、ましろの気持ちになって同じタイミングで泣いちゃったこともあります(笑)
続編が続く事を知った時も、すごくうれしかったのを覚えています。
今回は蒼吾くんの「ましろ」発言にビックリしてうれしくて、思わずコメントしちゃいました(笑)
次が気になるーー!!ワクワク。
from. 公(きみ) | 2009/04/17 08:00 |
*obabaさんへ*
応援ありがとうございます!
ガンバリマス。

*こんぺいとうさんへ*
初めまして!
長いお付き合いをありがとうございます。
このシーン、本編を含めブログの方でもたくさんコメントをいただいて…すごい反響だなと驚いています。
この後、大事ですよねー。読書のみなさまはどんな展開を期待してるんだろう、ブーイングにならないといいけれど…とドキドキ(苦笑)

*公さんへ*
はじめまして。
嬉しいお言葉をありがとうございます!
感情移入して読んでいただけたようでとても嬉しいです。
蒼吾の「ましろ」呼び。私自身、書きながらドキドキ。そして慣れないので違和感(笑)
続きは来週辺り、早めに更新できたらいいなと思っています。お楽しみにー!
from. りくそらた | 2009/04/17 09:27 |
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