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LoveLetter 1
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Love Letter 1   サイド*masiro

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純白のドレスに、色鮮やかなブーケ。
真っ青な空から雪のように舞い落ちるのは、たくさんの幸せを散りばめた色。
私の瞳に映る世界は、虹色だった。









「……誰だ、あれ。別人なんだけど」
ボソリと聞えてきた言葉に私は隣を見上げて、思わず苦笑いをした。
「これなら姉貴でも出れるんじゃね? あの番組! ビフォーとアフターでこんなに違いますって、あれ。プロってホント、すげえな! 」
悪態ついたセリフが照れ隠しなのは知ってる。
眩しそうに、嬉しそうに。
目を細めた横顔が、言葉を裏切ってるから。


春、3月。
夏木家の一番上のお姉さんが結婚した。
私と蒼吾くんは18になって、ついこの間、高校を卒業したばかり。
それぞれが思い描く未来の地図を片手に、新しい第一歩を踏み出そうとする、そんな季節のハッピーなイベントは、私達にも幸せを運んでくれた。
胸がいっぱいになる。


「……海月さん、綺麗だね」
もともと綺麗な人ではあったけれど、この日の海月さんは私が知ってる彼女の中で一番綺麗だった。
マリアベールに包まれた横顔は、柔らかで優しくて、幸せが滲み出てる。
結婚したら、何かが変わるのかな?
ずーっと一緒にいられて、羨ましい………。
いつかは私も─────。
そんな未来を想像しながら隣を見上げたら、蒼吾くんと目が合った。
いつから見てたの?
なにか言いたげな瞳が、じっとこっちを見つめてくる。


「なに?」
「ましろは短いヤツだな」
「?」
「ウエディングドレス。ロングもいいけど……お前小ちゃいし、足がキレイだからミニ丈の方が似合いそう」
……珍しく真剣な顔してると思ったら。
そんなこと考えてたの?
「姉貴の他にも何組かすれ違っただろ? 花嫁見るたびにウエディングドレスつっても、いろんなのあるんだなぁとか考えててさ。ましろだったらこういうデザインが似合って、ベールは姉貴みたいなマリアベールじゃなくて、ふわっふわの柔らかいヤツで、ブーケは……とか、いろいろ考えてた。……俺、顔にやけてなかったか?」

嬉しいような恥ずかしいような、手に余る幸せがこそばがゆい。
照れ隠しに振り上げた手を蒼吾くんが捕まえて、そのまま強く引かれた。
蒼吾くんが私の耳元に唇を近づける。
ぐっと近づいた距離にトクンと鼓動が跳ねた。


「なあ、ましろ─────」

そっと。
蒼吾くんが耳打ちしてきた言葉に、ぶわっと顔が朱に染まるのが自分でも分かった。
そんな私を見て、蒼吾くんが大人びた笑顔を見せる。
最近の蒼吾くんは時々、こんな表情をする。
幼さの抜けた男の人の顔。
なんだか知らない人みたいで、ドキドキする。



「蒼吾、こっち来てー! シャッター押してよ」
「おう! 今行くー!」
ちょっと待ってて、って。
また大人びた顔をのぞかせて、蒼吾くんが呼ばれた方へ走ってく。
大きな背中を見送りながら、私は頬を両手で覆った。
顔のほてりが治まらない。
気を抜いたら涙が出てきそう。
だって、さっきの言葉は─────。


「ましろちゃん、蒼吾知らない?」
言葉の余韻にぼんやりしてたら、背後から声を掛けられた。
「……あ。
今、お母さんに呼ばれて、あっちでシャッター押してます」
「えー? こっちが先だって言ったのにー」
肝心なときに使えないヤツ、と。
拗ねたように頬を膨らませたのは夏木家の二番目のお姉さん、葵さん。
背中の大きく開いた紺碧のドレスを身に纏った彼女は、今日も一段と派手で艶やかで。
同姓から見ても魅力的なオーラに、つい見とれてしまう。
年はそんなに違わないのにな。
葵さんの隣に並ぶと、中学生のように見えてしまう自分か悲しい。
「……ましろちゃん?」
綺麗な横顔を見つめてると、視線に気づいた葵さんが私を振り返って、不思議そうな顔をした。
なに?
「顔、赤いけど…大丈夫? もうアルコールが回っちゃった?」
「…いえ」
アルコールは口にしてない。
「じゃあ、人に酔っちゃったのかな。今日は随分と多いから…」
親戚が多く、交友関係の広い夏木家の式は、招待客も多く賑やかだった。
海月さんが教えている空手道場のお弟子さんが招待されていたり、信吾さんの仕事関係の人もいっぱい来ていて、かなり大規模なお式。
ばやぼやしてると、人波に飲み込まれてしまう。
「こんなときに蒼吾はなにやってんのよ。のんきにシャッター押してる場合じゃないってば。ちょっと待ってて。あたし、呼んできてあげるから」
「い、いいです! 大丈夫ですから!」
慌てて引き止める。
だって。
顔が赤い原因はたぶん、アルコールでも人に酔ったのでもなく、蒼吾くんがあんなこと言うから─────。

しばらくして、葵さんに呼ばれた蒼吾くんがカメラ片手に戻ってくる。
心配そうな表情を浮かべて。
「人に酔ったって? ましろ。あっちの人の少ない方、行くか?」
優しく背中を押されて、私は慌てて首を振った。
「ち、違うの! 蒼吾くん。人に酔ったんじゃなくて」
「なに? ジュースとカクテル、間違えたとか?」
「お酒なんか飲んでないよ…」
「じゃあ腹いてーの? 気分悪い?」
蒼吾くんは物事にきっぱり白黒つけないと、納得できない性格。
理由がわからないから、しつこく聞いてくる。
たいした理由じゃないのに、そんなおおごとにされたら、ますます言いにくくなっちゃう。
「なんでもないの。体調が悪いとか、そういうのじゃないから。……ほら行って?」
お母さんが呼んでるよ。
背中を押そうとしたら、その手を取られた。
大きな背を折り曲げた蒼吾くんが、真面目な顔で覗き込む。
「ましろ。べつに俺が主役じゃねーから、抜けても平気なんだよ。気分悪いとかなら、医務室連れて行ってやるから、ちゃんと言って」
いつだって蒼吾くんは私を優先してくれる。
そういうとこ、大好きだけど。
心配性で、大事にされすぎるのは……ちょっと、困る。
「ましろ?」
ちゃんと納得できる理由を話さなきゃ、蒼吾くんは引きそうにない。

「だって、蒼吾くんがあんなこと言うから……」
葵さんに勘違いされて。
呼ばなくていいって言ったのに。
だから。
ああ。
言いたいことがめちゃくちゃだ。
「なんか俺、マズイこと言ったっけ?」
「だって……」
本気にしちゃうよ?



─────なあ、ましろ。いつか、オレの為に着て?


甘い囁きはいつまでも耳に残る。
嬉しくって、くすぐったくて、思い出すたびに私の頬を熱くする。
きょとん、と。
目を丸く見開いて私を見つめていた蒼吾くんが、目元を柔らかくした。





「ぶぁーか。 冗談でそんなこと言うか!」

照れ隠しに軽く私の頭を小突いて、満面の笑みをくれた。
なんでもないみたいに言うくせに、耳が真っ赤になってる。
そんな蒼吾くんを見てたら、胸の奥がきゅっとなる。
……ああダメ。
今日はいつも以上に涙腺がゆるくなってる。
油断してたら、簡単に泣きそうだ。
嬉しくて、でもどこか苦しくて。
涙をこらえて下を向いたら、蒼吾くんがそっと私の手を取った。




「一応、あれでも本気のプロポーズだから。いつか、返事……聞かせてくれる……?」


いつか、なんて。
待たなくてもいい。
本当は、今すぐにでもここからさらってほしいぐらいなのに─────。


耳届くか届かないかの小さな声は、いつも簡単に蒼吾くんの心に届いて。
あたしの心を柔らかく抱きしめてくれる。
彼はいつだってそうしてくれた。
だから、大好き。



「フラワーシャワーが始まるって! 行こう!」
人波が大きく動いた。
平均よりもずっと小さな私の身長は、人混みに紛れると簡単に隠れてしまう。
蒼吾くんが庇うように私の肩を抱いた。
髪をぐしゃぐしゃっとして、突然に私の瞳の奥を覗き込むように、体勢を低くした。
トン、と。
唇が触れたのは、ほんの一瞬で。
慌てた私が真っ赤になるよりも先に。





 「約束なっ」


真っ直ぐな瞳を細めて、清々しいほどに笑ってそう言った。












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Comment








ぎゃい〜ん!!すっごくイイです♪

最初のイラストからワクワクして、嬉しさのあまり

クラクラしちゃいました!!

久々の更新にうれし涙出ちゃいました!!!
from. まめ | 2011/10/19 14:04 |
ぎゃい〜ん!!すっごくイイです♪

最初のイラストからワクワクして、嬉しさのあまり

クラクラしちゃいました!!

久々の更新にうれし涙出ちゃいました!!!
from. まめ | 2011/10/19 14:04 |
*まめ様*
ほんと、まほコト書くのは私も久々すぎて、書き方忘れてました(笑)
イラストもそろそろ新しいのが欲しいところですが…笑。
ゆっくりのんびりですが、またお付き合いくださいませ。
from. りくそらた | 2011/10/19 14:34 |
こんにちは。
とってもお久しぶりなのですが、覚えておいででしょうか?

ほんとに久しぶりにネットに触る機会をもちまして。訪れたら・・・・
「とわかな}終わって、しかも「まほこと」続編!!(どんだけ見てなかったんだろう・・・>0<)
とわちゃん、幸せになったんですね。ほっこりしました。今さらですが、連載終了お疲れさまでした。

「まほこと続編」、よかったらアベ君の近況も少しでいいので、書いていただけたら嬉しいです。

久しぶりにまた、小説にはまってしまいそう。

更新、楽しみにしています。
from. 二児のママ | 2011/10/19 17:31 |
※二児のママさま*
もちろん覚えてますとも!
お久しぶりです、がまほコト続編の連載開始日なんて、なんだかご縁を感じちゃいます。
阿部っちですか?
…ふふふ。
更新を読み進めてもらえると、いつか辿りつくと思います♪
展開はご期待に添えないかもしれませんが、アイツはいつか。
更新ペースはのんびりですが、どうぞお付き合いくださいませー。
from. りくそらた | 2011/10/19 19:24 |
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