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魔法のコトバ*  Season3 キス-2-
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魔法のコトバ* Season3 キス-2-

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階段を早足で駆け下りて、上靴を靴箱に突っ込む。
靴を履く時かがんだら、背負ったランドセルからバサバサっと教科書が流れ落ちた。
急いで帰る支度をしたから鞄の止め具を閉め忘れてた。
う、わ…。
慌てて散ばった教科書やノートを拾い集める。
気持ちが焦ってうまく拾えない。
やっとのことで拾い集めると、今度はきっちり止め具を合わせて立ち上がった。


顔を上げた瞬間、体がビクリと強張った。
目の前に蒼吾くん。
少し息を切らせてランドセルを片肩にかけて、私の前に立ちはだかる。
いつの間に降りてきたんだろう。
散ばった荷物を集めるのに必死で、ちっとも気付かなかった。
私はギュッとランドセルの肩紐を握りしめた。

下校時間でどんどん生徒が降りてくる。
もう少しすれば靴箱は生徒がたくさん行きかう場所になる。
こんなところ見られたら、また噂になっちゃう。
早く帰らなきゃ。
この場から離れなくちゃ。
私は蒼吾くんの顔も見ずに靴箱を飛び出した。


「園田!」
声が追いかけてくる。
ついてこないでよ。
私は半べそをかいたまま校門へ向けて早足で歩いた。
「待てってば!!」

なんで追いかけてくるの?
今日は部活の日でしょ?
『他のみんなが来る前にグラウンドを整備しておくのが4年生の仕事なんだ』って。
嬉しそうに話していた蒼吾くんの顔を思い出した。
胸の奥がきゅって、痛くなる。
こんなときに、今さら。
早く行ってよ。
蒼吾くんとは話したくない。
もう、話せないよ。

そう思っていたのに。
蒼吾くんはあっという間に私に追いついた。
「待ってって言ってるだろ!!」
怒ったように私の腕を捕まえる。






だって。


あんな話を聞いた後で、どんな顔をすればいいの?








「今朝のことは…その……ごめん。まさか園田があそこにいるなんて思わなくて…」



私がいると思わなくて?
いなかったらそれでよかったの?
それ、謝ってる意味が違うよ。
「ほんとにごめんっ」
それは何についてのごめん?
私を傷つけた事?
都合よく利用していたこと?
そんなの今さら謝られても遅いよ。
言った言葉は取り消せない。



あの日、初めて蒼吾くんと会った日。
ずっと私のコンプレックスだった髪を、目の色を。
「可愛いじゃん」って。
「いいじゃんそれ」って言ってくれたあの言葉は。
いつも下を向いてた私に変わるきっかけをくれた魔法のコトバで。
ずっと大事に胸の中にしまってた。
それを全て否定されて。
それが全部、その場だけの取り繕った言葉だったって知って。
私、惨めだよ。
そんなことも分からなかった自分がバカで情けない。
今、蒼吾くんが何を言っても。
言い訳にしか聞こえない。






私は涙いっぱいの目で蒼吾くんを睨みつけた。
言いたいことはいっぱいあったけど、何から話せばいいのか分からない。
口を開いたらとんでもないことを口走りそうで。


────蒼吾くんのこと、好きだったのに────。


そう思っているのは自分だけだってわかってた。
ただ隣の席ってだけだった。
心のどこかで期待してたのかな。
そんな自意識過剰な自分が惨めで。
下を向いて、ぎゅっと唇を噛み締めた。
瞬きをしたら涙がこぼれそうで、声を上げて泣いちゃいそうで。
私は唇を強く噛締めて地面をにらみつけた。








「…離して…」


たったひと言。
それだけが精一杯の抵抗。
私はありったけの勇気で、彼の腕を振り切った。


「…園…田…」


手が、するりと離れた。





「何だよ…。


…言いたい事があるならはっきり言えよ…っ!!」




背中に。
蒼吾くんの声が痛いぐらい聞こえてきたけれど。

私は振りかえらなかった。




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