http://miimama.jugem.jp/

スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

- - -
魔法のコトバ*  Season4 放課後-1-
*******************************************

魔法のコトバ* Season4 放課後-1-

*******************************************





「…え? 部活───?」



凪ちゃんと机を合わせて、お昼のお弁当を囲んでた昼休み。
突然切り出された言葉に、思わず食べかけの卵焼きを落っことしそうになった。


「あれ? 聞いてなかった?」
凪ちゃんが首をかしげたまま、ウインナーを頬張る。
「ましろがなかなか入部届けを持ってこないから、先生に催促してくれって言われたんだけど」
「聞いてないよ」
「やっぱり?」
凪ちゃんがあからさまに、大きなため息をついた。
「あの先生、言ったつもりが言ってないって事が多いんだもん。今回もやっぱりなんだ」
もう。しっかりしてほしいよ、と呆れたように呟いて。
「───で。どうするの?」
楽しそうに聞いてきた。
「どうするって言われても……」
今、聞いたばかりで、すぐになんて決められない。






凪ちゃんの話によると。
うちの高校は『積極性とやる気を育てる』という思考で。
必ず何らかの部活に、参加しなければならない校則があるらしい。
毎日参加型の部活動と、毎週曜日を決めて活動するクラブ活動のふたつがあって。
どちらかには在籍しないといけないらしいんだけど…。



「まぁ、すぐには決められないよね?」
「だって、どんな部活があるのかもわからないし…」
「じゃあ、あとで一覧表をもらってくるから、それ見て考えたらいいよ。活動内容もいろいろ載ってるから」
「…うん」
「面倒くさいんでしょう?」
心の内を見透かして、凪ちゃんが笑う。
「在籍だけの幽霊部員みたいな人もたくさんいるから。面倒なら活動の少ないクラブ活動にするといいんじゃない?」
「…ん〜」
面倒くさいといえばそうなんだけど。
それよりも、新しい環境に飛び込む事の方が苦痛。
やっと、学校にも慣れてきたばかりなのに、また一から飛び込まなきゃいけない環境があるなんて。
私はまた、大きくため息をついた。




「それ、似合ってる」
凪ちゃんが指差した。
「制服。前のも可愛かったけど、うちの制服の方がましろによく似合う」
「……ホント?」
真新しいセーラー服。
1年生は真っ白のスカーフ。
フワフワしててかわいいの。

転入してから一週間。
クラスの雰囲気や学校生活にも慣れて、新しい制服が届く頃にはすっかり落ち着いた。
何気なく過ぎてく毎日の中で、少しずつクラスメイトの顔と名前が一致するようになった。
クラスになじんだっていうよりも、みんなと同じ制服を着ると目立たなくなった。
あまり存在感ないもん、私。





「ましろは新しい環境に飛び込むの苦手だもんね」
「…うん」
「だったら、私と同じ部に来る?」
「凪ちゃんって、何部なの?」
何をやってるのかは知らない。
昔は部活、やってなかったよね?

「私? 陸上部よ。今、短距離と高跳びをやってるの。
中学からはじめたんだけど、これでも結構早いし、飛ぶんだよ?」
何となく目に浮かぶ。
小学校の時からスポーツ万能で、クラスの女の子の中でも、一番早かったから。



ていうか、それ。
私じゃ、無理でしょ。
陸上なんて。
いくら一緒の方が安心できるからといっても、運動部は論外だ。






「べつに、選手じゃなくてもいいの。マネージャーとか。運動苦手でも、できるよ?」

…うっ。
自分から切り出す前に指摘されちゃうほどの運動神経って、どうなんだろう。
私は何ともいえない表情で笑った。




「でも……運動部は、いいや」
私には向いてない。
どちらかといえば、ていうか絶対、文化サークル向き。



「そう? マネージャーが足りないから、ましろが入ってくれると助かるんだけど…」
「ごめんね」
私は苦笑した。
「ま、断られるだろうって、なんとなく想像はしてたけどね。
それはまたゆっくり考えるとして───早くその卵焼き食べたら?」
凪ちゃんが笑った。





あまりにも唐突すぎて、食べかけの手が止まったまま。
私はゆっくりと、お箸に挟んだ卵焼きをほおばった。






NEXT→




魔法のコトバ*  Season4 comments(0) -
スポンサーサイト
- - -
Comment








<< NEW | TOP | OLD>>