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魔法のコトバ*  Season4 放課後-3-
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魔法のコトバ* Season4 放課後-3-

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準備室に踏み込んだら、たくさんのキャンバスが窓辺に立てかけてあった。


どれもここから見える、窓の向こうの風景。
夕暮れ。銀杏。桜の舞う世界。
季節や時間はバラバラだけれど、全部同じ場所で、同じ視線から描かれたもの。
透明感溢れる色彩と、繊細な筆使いが印象的な絵画だった。



「……すご…い……」

思わず手を伸ばして、その絵に触れた。
まるでその季節の温度を絵の中に閉じ込めたような筆のタッチに、溜息が零れる。
触れた指先から温度が伝わりそう。
これって、生徒作品なのかな?
そうだとしたら、かなりすごい。
ここの学校の美術部って、レベル高いんじゃないの?
そう思ったら、ドキドキしてきた。
この絵を描いた人ってどんな人なんだろう。
会ってみたいな。
その人が描いてるところを間近で見れるのなら、私───毎日、美術室に通う。
そう思わせるほど、キャンバスの絵は強く私を揺さぶった。
私もいつか、こんな絵が描けたらいいのに───。









「誰?」


突然、予想もしなかった方向から声を掛けられた。
誰もいないと思っていたから驚いた。
「きゃぁっ!」
思わず後ずさり。
その拍子に、準備室の端に重ねてあった水入れの山に足が引っかかる。
おそらく、さっきまで授業で使ったであろうバケツ。
まだ乾いてないまま高く積み上げられてたそれが、一番下が崩れたせいで、ガラガラと大きな音と共に崩れ落ちてきた。




ひゃぁーーーっ。





やっちゃっ…た…。







「大丈夫?」
慌てて座り込んで、散らばったそれを拾い集めようとした私に。
声の主が、少し笑いを含んだ声で問いかけた。
鈍くさいなって、思われた。
辺りに飛び散った絵の具の混じった水が、私の足や上靴にも付いて、水玉模様。
汚いし、恥ずかしいしで、もう最悪…。




「乾かすためだけに置いてるバケツだから、テキトーでいいよ」


顔の横から手が伸びてきた。
私の手からバケツを受け取って、邪魔にならない場所にそれを並べる。
私は思わず顔を上げて、その人を見上げた。
逆行で表情まではよくわからないけれど、柔らかい雰囲気の男の子。
茶色がかったさらさらな髪が陽に透けて、すごくキレイ……。



「入部希望?」


その人は私に背中を向けたままで、そう聞いた。


「あ…はい」


優しい口調に思わずうなづいてしまう。
まだはっきりと、決めたわけではないのに。





「一年生?」

「…はい」

「何組?」

「Cクラスです…」

「いつ、こっちに戻ってきたの?」



「えっ…と、夏の間に───」













え?






私が驚いたように顔を上げたのと同時。
バケツを戸棚に並べ終えたその人が、振り返った。
眼鏡をかけたちょっとインテリっぽい感じの彼。
色白できれいな顔。



あれ……?



この顔。

私、知ってる───。








「あ…!」


思わず私は、大きな声を上げた。









そんな私を見て。



「あいかわらずだね、ましろちゃんは」




そう言って彼、佐倉くんが懐かしそうに顔を緩ませて笑った。





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魔法のコトバ*  Season4 comments(2) -
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Comment








おぉ☆ようやく隼人の登場だね(^_-)-☆
はづきは蒼吾派だけど、隼人の活躍も楽しみ〜♪
from. はづきゆみ | 2006/11/03 15:04 |
-+-はづきへ-+-
ようやく登場・・・だったけど、書くまでに時間がかかってしまった(笑)
活躍にこうご期待!!
from. りくそらた | 2006/11/08 23:38 |
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