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魔法のコトバ*  Season4 放課後-9-
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魔法のコトバ* Season4 放課後-9-

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蒼吾くんを前に動けなくなった私は、下を向いたまま立ちつくした。
じわじわとお腹の痛みが増してきて、額に汗が浮ぶ。
やばそうだな、って思ったけれど。
足が棒のように動けなくなって、どうしようもない。
迫り来る腹痛に、ただ唇を噛締めて我慢するしかなかった。
もうこんなの、嫌なのに。



「ごめん、ましろちゃん」


穏やかな優しい声色が鼓膜を掠めて、その声に顔を上げると、佐倉くんがこっちに歩いて来るのが見えた。
「職員室で担任に捕まっちゃってさ、随分待っただろ? ごめんな」
優しい言葉に安堵したのと同時。
じわりと熱いものが込み上げてきて、目尻に涙が溜まる気がした。


「…あれ───蒼吾…?」
見慣れない組み合わせに目を丸くして、ふたりの顔を交互に見比べる。
「野球部は今日、早い上がり?」
「…明日、練習試合があんだよ」
蒼吾くんの表情が明らかに不機嫌になった。
なんで?
「…園田、お前───佐倉と待ち合わせしてたのか?」
突然、話を振られて、身構えてなかった私はがっちり蒼吾くんの視線に捕まった。
強く視線を投げかけて、私の心の内を探ろうとする。
怖い。
「ましろちゃん、美術部に入ったから」
佐倉くんの言葉に割り込まれて、蒼吾くんが弾かれたように彼を振り返った。






「園田が……美術部───?」



確認を取るみたいにまた、私を振り返る。




べつに。
佐倉くんがいるから、入ったんじゃないよ?
なんだか勘違いしてるみたいな表情が、やだな。





「佐倉。ちょっとこいつ、借りてもいいか?」


蒼吾くんが私を指差した。



「俺はいいけど…」




ちらり、佐倉くんが私の様子を窺う。
───蒼吾と一緒で大丈夫?
そんな風に気遣ってくれる優しい視線に、私はますます泣きたくなった。



「いや。やっぱりダメだ───」
「何でだよ?」
蒼吾くんが思い切り顔をしかめた。
「明日どうしても必要な画材があってさ、今日のうちに買っておかないと駄目なんだよ。ね、ましろちゃん?」
佐倉くんの手が触れた。
落ち着かせるように、そっと背中を撫でてくれる。
私の気持ちを察して、フォローしてくれてるんだって、佐倉くんの優しさを痛いほど感じて、目頭が熱くなった。
ただ強く深く頷く。





「そういう事だからさ、また今度にしてくれる? ───行こっか、ましろちゃん」

そのまま背中を押して、その場から連れ出してくれた。
「じゃあな、蒼吾」
佐倉くんが軽く手を上げると、蒼吾くんは無言のまま自転車にまたがって。
夕日の向こうに消えた。






何か言いたげな蒼吾くんの表情が、心のどこかで引っかかったままだったけれど。
蒼吾くんの存在を受け入れる勇気は、その頃の私にはまだなくて。
臆病で弱虫の私は、小学生の頃の記憶のまま、立ち止まっていた。




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魔法のコトバ*  Season4 comments(2) -
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Comment








「魔法のコトバ 4−9」佐倉君の気遣いが好きです。
from. 雪 | 2006/11/16 11:29 |
-+-雪さん-+-
はじめまして、いらっしゃいませ。
佐倉君の気遣い、いいですか〜。彼が思うところはいろいろあるのでこれからそんな一面も書いていけたらいいなと思っています。
コメントありがとうございました。
from. りくそらた | 2006/11/16 14:46 |
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