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魔法のコトバ*  Season4 放課後-10-
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魔法のコトバ* Season4 放課後-10-

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「ちょっと寄って行こうか?」
画材屋さんで買い物を済ませた帰り道、佐倉くんが駅前にあるミスドを指差した。
店内に入ると、ドーナツの甘い香りが鼻をくすぐる。
カウンターで注文したものを受け取って、窓際のカウンター席にふたり並んで腰かけた。
グラスの中をストローでかき混ぜると、カラン涼しげな音をさせて、氷が崩れた。


「……佐倉くん。さっきは、その……どうもありがとう」
「ん?」
「嘘をついてまで、私をあそこから連れ出してくれて……」
「あれで──────よかったんだよね?」
「うん……。でも、どうしてわかったの? 私が、その……蒼吾くんが、苦手だって…」
「ああ…」
佐倉くんが苦笑しながら、私を正面から覗き込んだ。
ひどく間近に佐倉くんの顔が見えて、胸が小さく音を立てる。


「ましろちゃんが泣きそうな顔、してたから。蒼吾とふたりきりにしてほしくない───、そういう顔してた」

何もかも見透かすみたいな顔をして、佐倉くんが笑う。
昔から佐倉くんは、人の感情の起伏に敏感で。
他の人なら気付かないような些細なところにも気付いて、手を差し伸べてくれる。
だから佐倉くんの側にいると私は、いつも穏やかでいられるの。
この人の隣は、すごく心地いい。



「すごいな、佐倉くんは。私が言葉にしなくても、何でもわかっちゃうんだもん」
「ましろちゃんは、わかりやすいから。だって、すぐに顔にでちゃうだろ? 賭け事は絶対出来ないタイプだな」
「うん…苦手」
婆抜きはいつもビリだった。
だってジョーカーが回ってきたら、顔に出ちゃうんだもん。
「困ったことがあれば、いつでも言って。助けになるから」
佐倉くんが笑う。


「……ねえ。本当に、佐倉くんって彼女、いないの?」
「この前から同じ質問ばかりだね。確認してどうするの?」
「だって……」
佐倉くんがあまりにも優しいから、そういう特別な子がいるのなら、その子が羨ましいなって、素直に思うの。
「昔から人気者だよね。クラスの女の子、みんな佐倉くんのことが好きだった。佐倉くん、優しいから…」
「……俺が優しいのは、ましろちゃんだからだよ。誰にでもって、わけじゃない」









「え……?」



弾かれたように顔を上げたら、佐倉くんと目が合った。
真顔でそんなことを言うから、本気なのか冗談なのかわからない。








「ましろちゃんは俺にとって、ちょっと特別なんだ。昔から…ね」





視線に堪えかねて顔を伏せた私に、佐倉くんが優しい口調でそう言った。
弾かれたように顔をあげると、私を見つめた視線が、柔らかく微笑む。
言葉の意味を頭の中で噛み砕くことができなくて、私は曖昧な笑みを浮かべながら、飲みかけのアイスティーに口をつけた。


氷がグラスに当たる涼しげな音と佐倉くんの言葉が、いつまでも耳の中に残っていた。




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